市販の便秘薬に依存するのは危険!
市販の薬に依存するのは危険です!
便秘のタイプに応じて、適正な便秘薬を使用しましょう。自己判断で便秘の薬を飲み続けるのは止めて、ガンコな便秘は医療機関で薬の調整をしてもらうといいでしょう。
32年ぶりの新薬も!便秘薬の効用と使用法
下剤には大きく分けて、腸内容物の容量を増やしたり軟らかくして排泄を容易にする機械的下剤と、刺激により腸の運動を亢進させて排泄させる刺激性下剤に分けられます。同一薬剤の長期連用は習慣性を生じるため、種類を替えたり作用機序の異なるものを併用したりするほうがいいでしょう。排便のリズムが戻れば、減薬や中止が理想です。■機械的下剤
1)塩類下剤
浸透圧の原理で腸管内に水分を引き込みます。水分を増やすことにより腸管内容物を軟化増大させ、その刺激により便通促進効果をはかります。習慣性が少なく長期間の投与も可能です。腎障害がある場合は、マグネシウムなどの電解質異常に注意が必要です。1日に数回又は就寝前にまとめて内服します。
薬剤:酸化マグネシウム、マグラックスなど
2)膨張性下剤
水分を含んで膨張するため弛緩性便秘に有効です。習慣性はなく作用が緩徐であるので、高齢者や痔の方でも使用できます。効果の発現には2~3日要します。軽症の便秘にはいいですが、重症の便秘の場合には腹部膨満感が増すことがあります。お腹の手術などで腸が狭くなっている場合は腸閉塞に注意しましょう。妊婦の方は流早産を起こす可能性があるので慎重投与です。1日3回多めの水で内服します。
薬剤:カンテン、バルコーゼなど
3)糖類下剤
浸透圧の原理で腸管内に水分を引き込むだけでなく、腸内での分解により発生した有機酸が腸の運動を亢進させ排便を促します。人工甘味料を摂りすぎると便が軟らかくなるのはこのためです。欧米では下剤の適応がありますが、日本では一般的な下剤としての保険適応はなく肝性脳症や産婦人科術後、小児の便秘に用いられます。
薬剤:D-ソルビトール、ラクツロースなど
4)選択的クロライドチャネル賦活薬
自然な排便だとストレスも少なくなります
薬剤:アミティーザ
■刺激性下剤
1)大腸刺激性下剤
一般的によく使用されている下剤です。大腸粘膜刺激作用により排便を促します。センナなどのアントラキノン誘導体を含む下剤は、長期投与により腸の粘膜が茶色に変色する結腸メラノーシスが生じて排便機能が低下することがあります。効果が得られない場合は、単独で増量せずに他の下剤との併用がいいでしょう。就寝前に内服します。
薬剤:アローゼン、プルゼニドなど
2)小腸刺激性下剤
ヒマシ油などの油成分が腸管を刺激して腸の運動を促進します。現在はほとんど使用されていません。
薬剤:ヒマシ油
3)座薬
直腸内で二酸化炭素ガスを発生させ腸の運動を促進させ排便を促します。使用後15~30分で排便があるので、使用のタイミングを考慮したほうがいいでしょう。
薬剤:新レシカルボン坐薬など
4)浣腸
グリセリンの浸透圧で腸管内の水分を吸収しすることによって局所を刺激し腸の運動を促進させます。また糞便内に浸透して便を軟化、潤滑化することで排便を促します。
薬剤:グリセリン浣腸など
■そのほかの下剤
1)膨潤性高分子ポリマー
過敏性腸症候群の薬です。けいれん性便秘に効果があります。親水性で、腸管内から水分を吸収して膨張することにより便を軟らかくして排便を促します。1日3回食後に服用します。
薬剤:ポリフル、コロネルなど
2)漢方薬
腹部膨満に効果があり腸閉塞の予防にも有用とされている「大建中湯(だいけんちゅうとう)」、腸を刺激して腸の運動を活発にさせる「大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)」、体力があまりなくコロコロと乾燥した便が出る方に有効な「麻子仁丸(ましにんがん)」などがあります。漢方薬は食間又は食前が効果的です。
薬剤:大建中湯、大黄甘草湯、麻子仁丸など
「弛緩性便秘」、「けいれん性便秘」、「直腸性便秘」など、便秘にもいろいろなタイプがあり、状態に応じて便秘薬も使い分けが必要です。
「便秘のタイプ」に関しては、「あなたの便秘のタイプは?便秘の種類と解消法」の記事を参考にして下さい。