腹痛の女性

日常生活に支障がある場合が便秘です

便秘とは日常生活に支障がある状態

通常、排便は1~2日に1回といわれています。1~2日間排便がないと便秘だと心配に思うかもしれませんが、排便の習慣は個人差が大きいため、回数は目安でしかないのです。

排便が3日に1回でも、腹部膨満感や腹痛などがなければ便秘ではありません。腹部膨満感や腹痛など日常生活に支障がある場合を便秘といいます。

原因はひとつではない!便秘のおこるメカニズム

胃で消化された食べ物は、消化酵素でさらに分解され小腸で吸収されます。その残りカスと不要になった腸の上皮細胞や腸内細菌とが合わさって便となるのです。小腸から大腸にきたばかりの便は水分が多いドロドロ状態、大腸で水分が吸収されるにつれて形のある便となっていきます。

腸の蠕動運動が弱いと便が停滞する時間が長くなり、水分が過剰に吸収されて便が硬くなります。腸が緊張してけいれんすると便の通過が妨げられます。排便を我慢する習慣があると、排便反射が起こりにくくなり便意を催さなくなります。大腸がんなどの腫瘍で腸が狭くなることにより便秘になることもあります。以上のように、便秘といっても原因は様々なのです。

便秘の種類

便秘のタイプ

便秘にもいろいろなタイプがあります

便秘には大きく分けて、腸の運動が低下して起こる機能性便秘と腫瘍や癒着などの通過障害でおこる器質性便秘に分けられます。慢性便秘の大半は機能性便秘です。機能性便秘の代表的なものとしては、弛緩性便秘、けいれん性便秘、直腸性便秘があります。

■弛緩性便秘
腸の周りの筋肉が緩むことで便の押し出しが悪くなった結果、水分が過剰に吸収されて便秘となります。原因は食物繊維の摂取不足や排便に関与する腹筋が弱いこと(高齢者、妊婦、長期寝たきりなど)などが考えられます。

弛緩性便秘の症状
・便意はないがお腹の不快感がある
・便が硬くて太い
・食物繊維をたくさん食べるとよくなる
・市販の下剤でよくなる
・ストレスはあまりない

■けいれん性便秘
腸自体の収縮が強くなって腸内容物の輸送が障害され便が硬くなり便秘となります。多くは腸の運動が亢進して腹痛を伴いますが、排便、排ガスで軽快します。コロコロとした硬い便で残便感があります。ストレスの関与が多いとされています。若い女性に多いのが特徴です。

けいれん性便秘の症状

・お腹の痛みや不快感がよくある
・排便や排ガスでよくなる
・便が硬くてコロコロしている
・残便感がある
・お腹が張るのに便がでない
・ストレスが多い

■直腸性便秘
直腸に便が到達してもうまく排便できない、もしくは便意を生じないための便秘で肛門に近いところで便が貯留します。高齢者の弛緩性便秘によく合併します。

直腸性便秘の症状
・トイレに行っても残便感が強い
・いきんでも便が出にくい
・便がカチカチに硬い

便秘の原因

・不規則な食事やダイエット
胃に食物が入ると反射的に大腸の大蠕動がおきて、腸の内容物が大きく肛門側へ運ばれます。これを「胃大腸反射」といいます。赤ん坊が授乳の度に排便するのもこのためです。大腸の大蠕動を起こすには、睡眠中に胃の中が空っぽになっていることが理想的です。寝る前の食事はできるだけ避けましょう。

最近は朝食を摂らずに学校や職場に行く人が増えていますが、これでは大腸の大蠕動による排便のチャンスを逃してしまいます。朝食はきちんと摂るようにしましょう。ダイエットなどで食事量が少ないのも、腸への刺激が減少するので便秘の原因となります。

・ストレス
ストレスの女性

ストレスは便秘の大敵です

腸は自律神経で支配されています。自律神経は意識して動かすことはできません。しかし、自律神経は感情や心の動きの影響を受けるため腸にもその影響が及びます。

腸は第二の脳と呼ばれており、脳が不安やストレスを受けるとその信号が腸に伝わり腸の運動に影響を与えることがわかっています。旅行先などで便秘になりやすい人もいますが、慣れない環境での緊張がストレスとなり腸管運動が障害されることが原因と考えられます。

・運動不足
運動不足だと大腸の動きが悪くなります。腸の蠕動運動が弱くなることで便秘となります。

・女性ホルモンの影響

月経が始まると黄体ホルモンが分泌され大腸の蠕動運動が抑制されます。その結果便秘になりやすくなります。

・病気や薬
神経障害をきたす糖尿病やうつ病でも便秘になることがあります。また、血圧の薬や抗精神薬などの薬でも便秘になることもあります。

便秘の対策と解消法

活発な女子

規則正しい生活で便秘を解消しましょう!

・食生活の改善

規則正しい生活を行い、胃大腸反射を促すため三食きちんと食べましょう。便秘だからといって食べないと、腸への刺激がなくなり逆に便秘を悪化させる可能性があります。朝起きたら冷たい水を飲むというのも腸を刺激するという点で効果的です。

・食物繊維の多い食事
野菜は食物繊維が多いので多くとりましょう。多くとるには温野菜が適しています。海藻、きのこ、豆、イモ類にも多く食物繊維は含まれています。豆やイモ類は腸内でガスを発生し、腸管を刺激するので量に注意しましょう。

・排便のリズムをつくる
朝食後、胃と腸を刺激した後は排便しやすい状態となっています。初めは便意を感じなくてもトイレにいくことを習慣としてみましょう。余裕をもってトイレにいくことで排便のリズムが戻ってきます。

・運動・マッサージ
歩くことは自律神経のバランスを整えるとともに、腸管の動きを適度に調節する働きがあります。1日30分以上のウォーキングが効果的です。また、腹筋がないとふんばれません。腹筋の運動も行いましょう。手のひらで、お腹を時計回りに円を描くようにマッサージするのも効果的です。

・便秘薬
説明する医師

便秘のタイプによって薬の調節が必要です

弛緩性便秘は便を軟らかくする機械性下剤(酸化マグネシウムなど)を中心に刺激性下剤(アロエ・センナ・ダイオウなど)を追加すると効果的です。市販薬の多くは大腸刺激性下剤で即効性はありますが、続けて使用すると効きが悪くなり量を増やさないと効かなくなる可能性があります。連用には注意が必要です。

けいれん性便秘では刺激性下剤を使用すると悪化することがあります。原因はストレスであることが多いので、ストレスを避けて生活習慣の改善を行いましょう。薬剤としては、便をほど良い硬さに整える膨潤性高分子ポリマー(ポリフル、コロネルなど)というものもあります。これは過敏性腸症候群の薬として用いられています。処方するには医師の診察が必要となるので医療機関に相談してみるといいでしょう。

直腸性便秘には浣腸や直腸をガスで刺激する座薬(新レシカルボン座薬など)が効果的です。この座薬は市販にはないので医師の処方箋が必要となります。浣腸や座薬も続けて使用すると効きが悪くなってくるので連用しないようにしましょう。排便を我慢する習慣があると排便反射が起こりにくくなるので、便意を催したら我慢せずにトイレに行くようにしましょう。

薬によっては連用すると効果が出にくくなるものもあります。便秘の治療には、まず食事や生活習慣の改善から行いましょう。