“古式ゆかしき高級GTスポーツカー市場”にぴったりと
よくよく考えてみると、Fタイプのような古式ゆかしき高級GTスポーツカー市場は、これまでなぜか、ぽっかりと空いていたのだ。フェアレディZほどには子供っぽくなく、メルセデスSLクラスほどにはラグジュアリーイメージが勝たず、さりとて、フェラーリカリフォルニアほどには派手じゃない。価格帯的には、ちょうどポルシェケイマンの上と911の下をカバー。なるほど、考えれば考えるほどジャガーのために残されていたかのようなスポーツカーマーケットである。ライバルは、シボレーコルベット、BMW6シリーズ。
いずれにせよ、乗ってみたいと思わせる、乗って楽しいと感じられる、そういうクルマを造ることにかけて、ヨーロッパ車、特にイギリスはムカシから非常に長けていたと改めて納得するほかない。あるかないかというわずかな隙間であっても、こうして素晴らしいスポーツカーを生み出してくれるのだから……。