ジャガーブランド復活のシンボリックな存在のFタイプクーペ
コンバーチブルに続き、2013年のLAショーと東京モーターショーでワールドプレビューを飾ったFタイプクーぺ。3リッタースーパーチャージャーを積むベーシックモデル(823万円)とS(1029万円)、5リッタースーパーチャージャーのR(1286万円 写真)を用意
特に、クーペのリアからの眺めなどは、どうだ。
それは、ジャガーという老舗ブランドが、昔日のブランドイメージ=アフォーダブルなスポーツカーメーカー、を取り戻すきっかけになったことを意味している。そう、たとえば、スポーツカースタイルのお手本ともいうべき、Eタイプの全盛期のように、である。
その昔のジャガーといえば、ベントレーやアストンマーティンという貴族趣味に偏ったスポーツブランドの魅力を民主化したことに功績があった。そういう意味では、ポルシェとその志を同じくしていたと言っていい。
けれども時が経つにつれて、ジャガーのイメージは、レザーとウッドに代表される、いかにもイギリス趣味的な高級車寄りへと変質してしまった。ツーリングカーやスポーツプロトタイプなど、モータースポーツ活動に積極的だった時期もあったにもかかわらずだ。
本質を見失った者は、やがて弱体化する。それが世の倣い。老舗ブランドもその例外ではなく、フォード傘下時代にあってはポルシェのようになれたかも知れなかったのに、結局、大成功にはいたらなかった。
ジャガーに復活の兆しが見えはじめたのは、タタ傘下となって、スポーツイメージを急速に取り戻しはじめてからのことだ。そのシンボリックな存在がFタイプであり、“Eタイプの次”というモデル名からも、その意気込みを推し量ることができるだろう。少なくとも、名匠イアン・カラムの手になるスタイリングからは、兄貴分のXKシリーズ以上に、スポーツカーらしく力を溜め込んだ、ダイナミックな優美さが発散されている。