ところが最近は、そもそも永久歯の数が足りない方が増加しています。確率は10人に1人とも言われており、その傾向は強くなってきているのです。本来あるべき永久歯がないために、成人してからも乳歯がそのまま残っていたり、歯列や咬み合わせがおかしくなることがあります。ここではそのようなケースに対しての考え方や治療法を解説したいと思います。
乳歯から永久歯へ
乳歯列から永久歯列への交換は一気に行われるものではありません。大臼歯2本以外の5本の永久歯は顎の成長とともに順番に交換されていきます。しかし、何らかの理由で永久歯が下から生えてこないとなると、本来交換すべきタイミングで乳歯が抜けてくれません。永久歯が下から萌出してくるときに乳歯の歯根を溶かし歯の交換が行われますので、永久歯がなければそのまま乳歯が残ってしまうことがあります。永久歯が無い理由は、現在でもまだはっきりとしていません。
乳歯は自己管理できないうちに生えてくるので虫歯罹患率も高いですし、元々そんなに長くしっかりした歯根があるわけではありません。また、歯冠の形も永久歯と違うので、乳歯のまま一生快適に機能できる可能性は限りなく低いと言えます。大半が20~30歳くらいまでの間に自然に抜けるか抜歯しなければならなくなります。
永久歯が足りない場合の治療法
早い段階で永久歯の本数が足りないとわかった場合は、経過観察をしながら矯正治療などでバランスの良い咬み合わせを構築していけば良いと思います。隙間を埋めて見た目をよくすることも大切でしょう。乳歯を抜歯してインプラント埋入したレントゲン写真
遭遇率の高いケース
頻繁に遭遇するのは、下顎の第2乳臼歯(E)が残っているケース。インプラント上部構造は金属を使用しないオールセラミッククラウンを装着
できるだけ前後の歯に影響が出ないように抜歯し、その後の処置は他の欠損と同じように、ブリッジか入れ歯か歯科インプラントを選択します。
こんな問題が20~30代と若いうちに起きてきますので、できるだけ健全歯を削ることのない歯科インプラント治療を選択される方が多いです。