新監督たちの共通点は“若さ”
新たに監督に就く(就くであろう)人たちは、現在わかっている全員が40歳代となっている。
まず、西武は田辺徳雄監督代行(48)が、代行が取れて、晴れて来季の監督に就任する。潮崎哲也二軍監督も候補に挙がっていたが、今季途中、伊原前監督の休養を受けて代行として指揮を執った田辺監督の選手育成に評価が高かった。
次にヤクルトは、2年連続最下位の責任をとって小川淳司監督(57)が辞任。真中満一軍チーフ打撃コーチ(43)が内部昇格した。「コーチをやりながら常に監督というものを意識して現場を見てきました。若いということで、若さを出しながら精一杯やっていきたい」と真中新監督は心境を語った。
そして、日本一から最下位に転落した楽天は、星野仙一監督(67)の辞任を受け、大久保博元二軍監督(47)が内部昇格する。星野監督が腰の手術で休養中の7月2日から17試合で監督代行を務めて“下地”はできている。
衝撃的だったのは広島だ。10月8日、野村謙二郎監督(48)が電撃辞任した。監督就任5年目の今季、シーズン最終戦で3位に転落したが、2年連続でAクラス入りを達成。「シーズン前に決めていた」というが、ナインやファンに驚きだった。阪神とのクライマックスシリーズのファーストステージでは、2試合連続21イニング無得点となり、1分け1敗で敗退が決定した広島。後任は、緒方孝市野手総合コーチ(46)の昇格が決まった。緒方コーチは広島一筋28年。現役時代は走攻守そろった外野手として活躍し、3度の盗塁王を獲得した。2009年に現役引退後、2010年に就任した野村監督と同時に野手総合コーチに就任。今季は参謀役となり、チームを掌握していた。
さらに衝撃的だったのは、ソフトバンク・秋山幸二監督(52)が10月14日に行った辞任会見である。3年契約最終年の今季は3年ぶりのリーグ優勝を果たしたが、終盤に1勝9敗と失速してオリックスに猛追された責任を痛感。球団は慰留に努めてきたが、本人の意志が固く、6年間の監督生活に別れを告げる。
新たに監督に就く(就くであろう)人たちに、期せずして共通点がある。それは、現在わかっている全員が40歳代だということだ。星野氏(67)、小川氏(57)からバトンを受ける楽天・大久保新監督、ヤクルト・真中新監督はかなりの若返りとなる。
この変革は、選手たちにとって大きな意味を持つだろう。今の選手たちは“ゆとり教育世代”中心で、努力家ではあるが、大人に叱られることに慣れていないため、少し怒られるだけでモチベーションを著しく下げてしまうことが多い。かたや年齢層の高い上司(経営者)は、叱るのには熱心だが、褒めることが苦手である。この兼ね合いが難しく、ギャップが生じてしまえば、大きな溝が生まれかねない。野球界でも決して例外ではなく、監督と選手との関係においてもこのハンドリングは重要である。
その点、若い指導者は、選手との年齢差も小さく、大きなギャップを感じることも少ないだろう。それぞれのチームに来季の活躍、巻き返しが期待できる。