1万5000円割れ!日本株の今後はどうなる?
日本株を見る上で外国人投資家の動向は非常に重要
そのナスダック総合指数ですが、9月中旬より厳しい下落に見舞われています。10月10日(金)はナスダック総合指数は2.3%下がったのですが、同日のS&P500の1.1%安、ダウの0.7%安に比べ、率にして倍以上も下がりました。
特に、この日は通常相場をリードするネット株やバイオ株よりも、半導体チップメーカー(=ナスダックの主要構成銘柄)の下げが突出。大手のインテル(INTC)が5%、クワルコム(QCOM)も4%近い下げとなっていますが、それよりも中堅どころに10%を超えるような下げが目立ちました。主要半導体株で構成されるフィラデルフィア半導体指数は一日で7%を超える下げとなりました。
きっかけはマイクロチップテクノロジー社(MCHP)の決算発表で、同社CEOが業界全体のダウントレンド入りを示したことにあります。同社は世界中に多くの顧客基盤を抱え、その業績は半導体業界全体の動向を反映します。これまでウインドウズの買い換え需要やスマホ需要により、業界全体に好業績と株価上昇の波が見られてきたのですが、中国をはじめ、その需要が全体に弱まっている模様です。つまり顧客である通信や家電、その他自動車など産業界からの需要サイクルが下降期にあると見られます。
一方、原油価格は大きく下がり続けており、WTI原油先物価格は85ドル台と2012年以来の低水準となりました。そして石油関連株の大幅調整は7月から続いており、現在は安値更新銘柄続出のセクターとなっています。前述のように、これに続いて半導体セクターも調整期に入るとすれば、景気サイクルを色濃く表す二大景気敏感セクターが下落トレンドに入ることになり、世界の株式市場全体を見る上でも注意が必要です。
金融危機後、石油セクターや半導体セクターがダウントレンドに入ったのはこれが初めてではなく、前回も相場全体が軟調になりかけました。しかし大規模な量的追加緩和が発動されて結局あまり相場全体への悪影響は目立ちませんでした。しかし、今回は逆に、量的緩和政策(QE3)が終了するところで、来年には利上げに向かう見通しである点が前回と異なります。
日経平均も米国国債の金利低下による円高で軟調に
一方、世界経済を確認すると、ドイツの8月の貿易や生産活動が非常に弱く、欧州にリセッション入りの懸念が出ています。また、エボラ出血熱の脅威が拡大し、「イスラム国」との戦いは泥沼化しそうです。もちろん、どれも致命的な問題ではありませんが、既に投資マネーは撤退を開始し、前述のように景気敏感株が売られ、ナスダック総合指数はこれまで長期の支持線であった200日移動平均線を下回りました。これは2012年末以来です。逆に安全資産の米国10年債が大きく買われています(=債券価格は上昇し、利回りは低下している)。少し前までニューヨーク証券取引所全体で200日線を越えている銘柄は7割を超えていましたが、現在3分の1にまで激減しています。これは11年後半以来の低水準です。そして前月から米国市場では、1年間の最安値更新銘柄数が
300~400以上も出る日が頻繁に見られ、10日は700銘柄を超えました。一方で最高値更新銘柄数は毎日数十程度しかありません。半年前まではこれらの数字は逆転していました。VIX指数もここ2~3年見られなかったような勢いとなっており、完全にリスクオフモードに入ったと思います。
日本株も株価が大きく下落しています。安全資産である米国国債が買われ、金利が低下したため、日米金利差が縮小し、円高に振れつつあることが大きな要因です。このままリスクオフの動きが続き、米国国債の金利が低下を続ければ、為替はさらに円高に巻き返していきますので注意が必要です。
日経平均はマクレランオシレーターなどからテクニカルを判断すると、一旦の反発上昇があって然るべきと思います。さらにすぐ下にある200日移動平均線で反発を想定できます。このように、2013年以降の株価のパターンで見ると、このあたりが底となって上昇再転換に向かう可能性が高いと思いますが、前述のように米国では景気敏感株が下落に転じ、VIX指数が前回高値を抜くなど、ここしばらくとは違った様子も見られるところです。当面はしっかりシートベルトを締め、特に米国国債の金利の動きを注視していく必要があると思います。
参考:日本株通信
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