3つめは「女性が働ける社会にすること」です。女性が専業主婦になり再就職しないことを当たり前とするのではなく、女性も働くことで年金保険料を納める側は増えますし、女性の将来の年金額も増えます。年金減額も、共働きで年金をダブルでもらえることで十分リカバリーできるはずです。
4つめは「経済の回復(成長)」です。すでにある年金積立金については団塊世代という歴史的にも特殊な人口の偏りによって年金支払い負担が重くなる分を先取りしたものであり、彼らのために取り崩すことはおかしい話ではありません(彼らが現役のうちに多めに保険料を取っておいた、ともいえる)。しかし、170兆円もありますので、運用の低迷が取り崩し計画に悪影響を及ぼします。経済の成長は運用のプラスにも通じます。
年金官僚以外がしっかりすれば年金は大丈夫?
先ほどの4つのキーワードを冷静に考えてみると、それぞれ年金官僚だけでどうこうできるものではありません。「少子化対策」は同じ厚生労働省でも別セクションですし、「高齢者の雇用問題」「女性の労働環境」なども別の厚生労働省のセクションが取り組む課題です。
「経済回復(成長)」に至っては、安倍内閣の課題そのものです。年金官僚がどうこうできるレベルではありません。
言い換えれば、日本がしっかりやるべき問題解決に取り組めば、大きな負担はなく年金制度を維持可能だということです。
視点を変えると、違った世界が見える
このような記事は、他紙ではどこにも書いていないと思います。いまだに年金破綻を声高に述べるテレビや雑誌ははっきりいって一周遅れです。しかし、こういう視点で年金を考えるためには、今までの当たり前のイメージを切り替える必要があります。マネーハックの逆転の発想に通じるような視点です。
年金官僚がやるべきこともたくさんあります。しかし、年金官僚を悪者に仕立て上げても年金問題は解決しないのだ、と考えてみるほうが正しい見立てでしょう。