“ターボ”という名称を憧れにしたクルマ
その昔のクルマ乗りにとって、ポルシェのターボエンジンといえば、究極の憧れだった。今も、その事実に変わりはない。ポルシェターボが歴史に現れなかったとしたら、“ターボ”という名称に、クルマ好きがこれほど惹かれることもなかったはずだ。歴史は、930型の“ドッカンターボ”に始まった。時代を経るに従って、空冷時代の迫力を懐かしむ声が大きくなってきたが、それは“木を見て森を見ず“というやつだろう。
ベースとなる911の基本パフォーマンスが、RR(エンジンリア置き後輪駆動)という奇特なレイアウトを守ったまま(事実は守ったからこそ、ではあったが)で、これほどまでに向上してしまった今となっては、ターボチャージャーの役目も自ずと変わってくるというもの。否、相対的に、その威力が昔ほどには目立たなくなった、というだけの話で、年々進化するそのパフォーマンスの素晴らしさは、“数字の短縮”がよく物語っている。それとともに、プライスもまた随分と高くなってしまったわけだが……。
911ターボは、モータースポーツ活動と並んで、ポルシェブランドの技術力を世間に知らしめる最高の存在であり続ける。ターボは永遠に911の、否、ポルシェの頂点として君臨することだろう。