高尿酸血症とは
血液検査で高尿酸血症は判ります。無症状でも要注意です。
高尿酸血症が原因である痛風は、正式には「痛風関節炎」です。関節内に尿酸結晶がたまって起こす関節炎で、足指の関節・足関節に見られます。
1977年の米国リウマチ学会の診断基準を判りやすく表現すると
- 尿酸塩結晶(尿酸の固まり)が関節の中の液にあること
- 関節部分が腫れている痛風結節があること
- 次の項目のうち6つ以上を当てはまること
- 2回以上の急性関節炎が過去にあったこと
- 24時間以内に関節の炎症のピークがあること
- 1つの関節炎であること
- 関節部分が赤いこと
- 足指の関節の痛みと腫れがあること
- 片足の足指に関節炎があること
- 痛風結節のようなものがあること
- 血液中の尿酸の値が高いこと
- X線で対称的でない腫れがあること
- 痛風発作の無い時には痛みがないこと
これらの3つの項目の1つでもあれば、痛風関節炎です。また、痛みが出ている状態を痛風発作といいます。痛風発作はかなりの痛みを伴いますので、治療として痛み止めが使用されます。
痛風発作の治療
痛風は主に足に症状が出ることが多いです
発作時には、非ステロイド薬であるインドメサシン(インテバン)、ナプロキサン(ナイキサン)、オキサプロジン(アルボ)、プラノプロフェン(二フラン)などを使用します。これらの薬で効果が無い時には、ステロイド薬を使用することになります。
■参考:「痛風」サイト
尿酸を下げる薬(尿酸降下薬)を飲んでいない時の痛風発作では、発作中には尿酸降下薬は使いません。しかし、尿酸降下薬を服用している時に痛風発作があっても中止しません。
高尿酸血症の治療…生活指導
基本は、生活指導になります。生活指導には3原則があります。- 食事療法…適正な摂取カロリー、1日400mgを超えないプリン体摂取の制限、尿が1日2リットル以上あること
- 運動療法…BMI<25を目標に
- 飲酒制限…1日の飲酒量の目安 ビール500mL、日本酒1合、ウイスキー60mLまで
プリン体について
プリン体とはプリン骨格を持つ物質の総称で、体のエネルギーであるATP、遺伝子に関わる核酸に含まれています。従って、細胞が増えやすい部分で多く含まれています。このプリン体が体内で代謝され、尿酸になります。プリン体を多く食べるとそれだけ尿酸が作られるわけです。■プリン体の多い食品
- 100gあたり300mg以上で極めて多い…鶏レバー、マイワシ干物、イサキ白子、あん肝
- 100gあたり200~300mgで多い…豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、マアジ干物、サンマ干物
- 100gあたり50~200mgで少ない…ウナギ、ワカサギ、豚ロース・バラ、牛肩ロース、牛タン、マトン、ベーコン、ホウレンソウなど
- 100gあたり50mg以下で極めて少ない…コンビーフ、魚肉ソーセージ、カマボコ、豆腐、牛乳、チーズ、バター、鶏卵、ジャガイモ、米、御あん、うどん、そば、果物、野菜など
高尿酸血症の治療…薬物治療
薬物治療の目安は下記です。- 痛風関節炎または痛風結節がある場合
- 尿酸値が8.0mg/dL以上で、腎障害・尿路結石・高血圧・狭心症などの心臓疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームがある場合
- 尿酸値が9.0mg/dL以上ある場合
■尿酸生成抑制薬
- フェブキソスタット(フェブリック):1日1回
- トピロキソスタット(トピロリック):1日2回
- アロプリノール(ザイロリック):1日1~3回
- ベンズブロマロン(ユリノーム):1日1~2回
- ブコローム(パラミジン):1日1~3回
- プロベネシド(ベネシッド):1日2~4回
さらに、合併症がある場合は、治療の薬は若干異なってきます。
■腎障害ある場合
基本は尿酸産生抑制薬を使用し、アロプリノールは腎機能に応じて減量する。
■尿路結石がある場合
尿量を確保するために飲水指導と基本は尿酸産生抑制薬を使用する。
■高血圧、心血管系の病気がある場合
尿酸代謝に影響しない降圧薬を使用し、尿酸の値を6.0mg/dL以下にするために、尿酸降下薬を使用する。利尿薬は尿酸値を上げるので、使用しない。
高尿酸血症は、血液検査で簡単に判りますし、痛風になる前に生活の改善を進めていきましょう。まずは、自分は大丈夫かどうか血液検査をしておきましょう。