巧みな描写、鮮やかな色彩を操る脅威の絵師
上野の森美術館(上野):ボストン美術館浮世絵名品展 北斎
葛飾北斎 《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 天保 2 年(1831)前後
William Sturgis Bigelow Collection Photograph
©2014 Museum of Fine Arts, Boston. All rights reserved.
生涯のうちに、改名すること約30回、引っ越しすること93回。画風や様式をその時々に変化させ、江戸のみならず世界中を魅了した葛飾北斎。彼の作品を数多くコレクションするボストン美術館から、このたび名作ばかりが里帰り。大規模な展覧会が開催されています。
世界有数の日本美術のコレクションをほこるボストン美術館。このコレクションは、かつて岡倉天心とともに、日本美術の保護や振興に力を入れたことで知られるアーネスト・フェノロサが持ち帰った作品たちが核となっています。じつは、ボストン美術館は世界で本格的な北斎展を開催した最初の美術館。門外不出ともいわれた優れた作品ばかりがお目みえ。
葛飾北斎 『花の兄』 寛政 11 年(1799)
Gift of Mrs. Jared K. Morse in memory of Charles J. Morse Photograph
©2014 Museum of Fine Arts, Boston. All rights reserved.
そのコレクションの多くは、近年までほとんど後悔されたことがなかったもの。そのため、保存状態が極めて良好で、摺りあがりに近いような鮮やかな色彩を保っています。
なかでも、特に珍しい『花の兄』など、ボストン美術館にのみ所蔵が確認されている作品。もちろん、『諸国滝廻り』や『冨嶽三十六景』など、おなじみの作品も登場。西洋の顔料「ベロリン藍」を使った美しい青色が目を引きます。
また、これまであまり注目されてこなかった、切り抜いて立体に組み立てる浮世絵「組上絵」の作品も展示、そして再現。精緻な筆使いが美しい肉筆浮世絵や、彼の技術をそばで学び取り、自身も浮世絵師となった実の娘、葛飾応為の作品も展示します。いままでにない北斎の世界をしっかりと堪能できる展覧会です。
■展覧会DATA
展覧会名称:ボストン美術館 浮世絵名品展 北斎
会場:上野の森美術館
会期:2014年9月13日(土) ~ 11月9日(日)
開館時間:10:00~17:00(金曜日は20:00まで開館)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:9月29日(月)、10月6日(月)、10月14日(火)、10月20日(月)、10月27日(月)
Web: http://ukiyoe.exhn.jp/
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