今や住宅取得の主役になりつつある共働き世帯
厚生労働省「平成25年版厚生労働白書」のデータよると、1980年には「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」が1114万世帯だったのに対し、共働き世帯は614万世帯でした。これが1992年に後者が数を上回り、現在(2012年)には前者が787万世帯、後者が1054万世帯となっています。土地を探している夫婦の様子。住宅取得を土地探しから始める人も多いが、この場合はイニシャルコストが特に大きくなるため、慎重な検討をすべきだ。因みに、これは埼玉県内の住宅展示場で撮影。住宅展示場にも土地情報コーナーがある場合がある(クリックすると拡大します)
それは住宅取得の点でも同様です。共働き世帯の方が、奥さん(あるいは旦那さん)に収入がない世帯より住宅資金を確保したり、ローン返済がしやすいわけであり、だから共働き世帯が住宅取得の中心に躍り出ているというのが、現在の状況といえます。
このため、ハウスメーカーなど住宅事業者は共働き世帯をターゲットにした商品や提案を充実させています。最近は「ママ目線」や「主婦のニーズに対応した」などという言葉が、よく使われますが、それも共働き世帯が増加した現在の状況を強く反映したものといえます。
例えば大手ハウスメーカーの旭化成ホームズでは今年7月に、「夫の家事参加を促すキッチンの開発と空間提案」を開始したほか、同社の共働き研究所では「30代共働き夫婦の家事分担の実態と意識についての調査」を実施したりしています。
その詳しい内容はここでは割愛しますが、要するに共働き世代無くしては現在の住宅市場は成り立たず、彼らへの商品開発や提案、彼らのライフスタイルの把握が死活問題になっているということです。
ある共働き夫婦が考える住宅取得のあり方とは?
さて、このような状況から、先ほど「共働き世代は住宅取得に有利」というようなニュアンスのことを書きましたが、では実際はどうなのでしょうか。それが今回の本題になります。住宅取得にあたっての死角はないのでしょうか。実は、そう思い至ったのには訳があります。私の友人(男性)で共働き世帯の人がいるのですが、先日、頼まれて購入を検討しているという、ある分譲住宅を一緒に見てきました。そこで話題に上ったことがキッカケでした。
友人夫婦は共に40代。子どもは間もなく20歳になる娘さんと、まだ幼い男の子がいます。住宅取得の主な目的は、夫婦の終の棲家を得ること、そこでまだ幼い男の子を健やかな成長を願って、とのことでした。
見に行った物件は、購入契約をする直前とのことで、さらに外回りしかみることができなかったことで、彼ら夫婦にすべきアドバイスは限られたものになりました。
購入する決め手になったのは?ということを確認したところ、イニシャルコスト(住宅取得時の費用、いわゆる住宅価格)のほかに、「娘の車も含め3台分の駐車スペースがあること」とのこと。私は正直なところ「もっとしっかり検討すべきだよ」と話しました。
よくよく話を聞くと、その分譲住宅がある場所は、奥さんの職場の近くであり、それが最重要ポイントであることが分かりました。
で、「どのくらい物件を見たの」と言うと、その周辺にある3~4の物件を見て回り、比較的希望に近いものに決めようとしているということでした。
さて、次のページでこの話をさらに深掘りしていきますが、皆さんにはどこが問題かお分かりでしょうか。そこに共働き世代が陥りやすい問題がみえてくるように思います。