自治体の取り組み
地震への備えを
地震に対する備えとして、建物の耐震能力を高めることは有効な手段のひとつです。建物の耐震性が高まることで、地域の防災性は向上し、災害に強いまちづくりにも繋がります。
そこで、全国の自治体では、住宅の耐震診断にかかる費用を助成したり、無料で耐震診断士を派遣しています。また耐震診断のあとで、耐震補強工事が必要となった場合、その費用を助成する自治体もあります。
東京都杉並区の場合
例として、東京都杉並区の「木造住宅等耐震改修助成」をみてみましょう。まず最初に知っておきたいのは、建物の耐震基準についてです。
現在の建物の耐震基準は1981年6月に改定されたものです。旧基準は「震度5程度の地震に耐えうる住宅」との規定されていましたが、新基準では「震度6強以上の地震で倒れない住宅」へと見直されています。
東京都の杉並区では、旧基準に該当する1981年5月31日以前に建築された木造住宅に耐震診断士を無料で派遣。診断士が建物の簡易診断を行い、報告書を作成します。さらに精査が必要であれば有料の精密診断となり、建物の規模に応じてその費用の一部(10万円)を区が負担します。
木造建築以外の戸建て住宅やマンションなど(いずれも1981年5月31日以前に建てられたもの)にも、耐震相談アドバイザーが派遣され簡易診断が必要かどうか調査されます。分譲マンションの場合、耐震化にあたって管理組合全体の合意が必要であるため、そのための説明も行われます。診断後は耐震補強のためのアドバイスや改修プランの提案なども行われます。
上記のように耐震診断を行い、耐震補強工事が必要となった場合、改修費用が助成されることがあります。
木造住宅は、50万円を限度額として、耐震改修に要した費用の2分の1が助成されます。改修後の地震に対する安全性を示すIw値(構造耐震指標)が、倒壊の危険性が低いとされる1.0以上であれば、限度額は100万円になります。
また、非常時の救援や輸送のために重要な「緊急輸送道路」など、区が耐震化を促進している地域では、限度額は50万円が75万円に、100万円は150万円に引き上げられます。
木造以外の戸建て住宅やマンションでも、建物の規模によって50~4000万円が助成されます。