ギャラリーや設計事務所など、アートの拠点が集まる大阪市南部の北加賀屋エリア。「FABLAB KITAKAGAYA(ファブラボ北加賀屋)」の運営メンバーのひとり白石晃一さんに、ものづくりやアートとしてのFABLAB(ファブラボ)の内容や役割を伺いました。

FABLAB(ファブラボ)は何をするところ?

FABLAB KITAKAGAYA

FABLAB KITAKAGAYA


 
「FABLAB(ファブラボ)」とは、「fabrication laboratory」の略称です。油絵とか彫刻というジャンルや技法ではなく、美術館やギャラリーというような「場」を指します。

「FABLAB(ファブラボ)は、個人が、自らの必要性や欲求に応じて、『ほぼあらゆるもの("almost anything")』をつくることを目標とした『場』です。FABLAB(ファブラボ)を日本に紹介した田中浩也さんは『生活と仕事、遊びと学びが橋渡しされる図工(技術)の実践の場を確保するため、21世紀の図書館として地域に一つ共同の工房を作る』というビジョンを語っています。そのビジョンを実現するために、FABLAB(ファブラボ)では多様な実験が行われたり、成功も失敗も資料として広く残していく必要があります。その実験の場、資料がある場として、僕はFABLAB KITAKAGAYA(ファブラボ北加賀屋)を立ち上げました」(白石さん)。

例えば私が「本棚をつくりたい」と思ったとき、FABLAB(ファブラボ)に行くと木の切り方や棚の止め方を教えてもらえる、みたいな「何かをつくる場」なのです。

「『モノを作る場』というのは『作り方を学ぶ場』であるべき。そこでコミュニケーションが生まれたり、共有したり、という場にもなっていきます。この『Learn make share』はFABLAB(ファブラボ)の世界共通の理念で、そこで生まれるものは、壊れてしまった身近なものの修理から、世界を変えるかもしれない大発明までなんでもありです。そして、私はモノを作るという段階において日曜大工も大発明も優劣はないと思っています」(白石さん)。

羽ばたき飛行機を手にする高橋さん

羽ばたき飛行機を手にする高橋さん


 
実際FABLAB KITAKAGAYAには、いろいろな人たちが集まります。近所に住んでいる高橋さんは、十年間、個人的に開発されていた「羽ばたき飛行機」を、手に入りやすい素材とここの設備をつかって改良し、その新型機を使って子供向けのワークショップを各地で開催しています。


ものづくりだけじゃないFABLAB(ファブラボ)

ものづくりに興味がある人たちが集まる

ものづくりに興味がある人たちが集まる


 
たとえば美術館だと「美術作品がある、それを見る」ことが目的です。FABLAB(ファブラボ)は「何かをつくる」ことが目的の、アトリエのような場所なのでしょうか。

「そうですね。アトリエだとひとりで制作をすることが多いでしょうが、FABLAB(ファブラボ)はつくりたいというものに対して、具体的なアイデアをアドバイスしてくれたり、技術的なサポートをしてくれるメンバーがたくさんいます。『こんなものがつくりたい』というアイデアがあれば、そういったメンバーとの対話を通してブレイクスルーが起こるので、ひとりで制作をする場合とはまた違ったアプローチや作品ができるはずです」(白石さん)。

でもつくるものがない人にとっては、FABLAB(ファブラボ)って関係ない場所でしょうか。

「そんなことはないですよ。ファブラボが関係することで、コミュニケーションやつながりの場も広がります。いま僕たちFABLAB KITAKAGAYAが拠点としている大阪の北加賀屋エリアでは、アート系NPOと一緒に、地域と根ざした活動をしています。また材料の仕入れなどで、大阪や近郊の工場の人たちともつながりが生まれつつあります。いろんな形で、いろんな人たちと出会い、つながることができる場がFABLAB(ファブラボ)です」(白石さん)。