画像はイメージです。
・2009年 → 2010年 +35棟(1万2552戸)
・2008年 → 2009年 +95棟(約2万6000戸)
・2007年 → 2008年 +142棟(約3万4000戸)
・2006年 → 2007年 +134棟(約3万3500戸)
と、増加幅は減少傾向にあり、同研究所では「価格高騰による2007年以降に起こったマンション販売の不振、2008年9月のリーマンショック以後の様変わりした経済情勢によって、デベロッパー各社の破綻が続出。生き残った大手デベロッパーも販売の長期化を懸念して、マンション供給計画を縮小させている」と現状を分析します。
確かに、タワーマンションともなると用地の取得から完成・引き渡しまで最低でも2年程度はかかります。めまぐるしく変わる不動産市況の中、こうした「長期回転型のビジネスモデル」は市場環境の変化に素早く順応できず、値付けが市場の期待と乖離(かいり)してしまう“価格のミスマッチ”などの現象を引き起こします。
とはいえ、今もって人気が高いのも事実。タワーマンションに住みたいと考えている人は少なくないでしょう。ただ、どうしても高層マンションの魅力ばかりが一方的に情報伝達されてしまい、得てして、不便さや目に見えない死角が隅に追いやられてしまいがちです。これでは公平な判断はできません。自分にふさわしいかどうか結論を導くのは困難を極めます。そこで、私ガイドの独断と偏見で、タワーマンションのメリットとデメリットを整理してみました。すべてにパーフェクトな物件など、この世には存在しません。自身の優先度と照らし合わせ、高層マンションとの“相性度”をチェックしてみてください。
「資産リストラ」と「規制緩和」が、タワーマンション建設ラッシュを後押し
本題に入る前に読者の皆さんは、なぜ、タワーマンション建設が増えたかご存じでしょうか。実は、高層マンションが“大衆化”したのはそれほど昔の話ではなく、建設ラッシュが始まったのはわずか10年ほど前からです。理由は大きく2つあり、まず1つ目が企業の「資産リストラ」の進展です。土地神話が顕在していた頃は企業も手広く土地を購入し、自社のバランスシートに積極的に組み入れてきました。しかし、失われた10年の間にわが国の地価は著しく下落し、全国平均でバブル期の半分程度まで落ち込みました。東京圏はさらにひどく4割程度の水準(6割ダウン)です。そのため、評価損となった不動産は企業のバランスシートを直撃し、いやおうなしに資産リストラに向かわせました。こうして排出された土地が次々とタワーマンションの建設用地として生まれ変わっていったのです。社員寮から倉庫まで、あらゆる“負”動産が売り払われていきました。
そして、もう1つの理由が「規制緩和」です。景気回復をもくろみ、容積率を筆頭とした建築制限を大幅に緩和していったのです。これにより、これまでは建設できなかった高さまで建物を建設することが可能となりました。法規制によって押さえつけられていた各種制限が緩められたことで、タワーマンション建設が可能となりました。
今では企業の資産リストラも一巡し、マンション適地はそうそう放出されなくなりましたが、そのせいか好条件の案件には高価格での入札が入るといいます。このように、タワーマンションの建設ラッシュには必然性があったわけです。気に入った高層マンションが見つかったら、その敷地が以前は何に使われていたか、販売員に聞いてみると面白いかもしれません。
タワーマンションの完成(予定)年次別計画数
(出所)不動産経済研究所
※その他では、主な地域として福岡県が10棟(2407戸)、広島県が7棟(2226戸)、静岡県が9棟(2037戸)、宮城県が4棟(1359戸)、愛知県が4棟(830戸)など。
次ページでは、「タワーマンションを買っていい人 買わない方がいい人」について見ていくことにしましょう。