幻想的な空間にいると、不思議とまた行きたくなる
夕刻の町流しはどこも混雑しますが、特に「日本の道百選」にも選ばれた「諏訪町」での19時以降の町流しは、大変混雑が予想されます。どうしても背景を重視して写真を撮りたいというのでなければ、他の町での町流しや、演舞会、曳山展示館や駅前でのステージを見るのもおすすめです。昼間時間帯の町流しは、1日と2日のみです。例年夕刻よりは混雑がましなので、その時間帯を選んで見るのもいいかもしれません。また、前夜祭が毎年8月20日~30日まで、夜の20~22時に開かれます。予定がこの日しか合わない方や、混雑を避けたい方におすすめです。
町流しは、胡弓や三味線の小さな音で静かに踊るため、大声での会話は厳禁。どうしてもの場合はひそひそ声で。携帯電話もマナーモードに。雰囲気を壊すので、フラッシュ撮影も自粛を(明確に禁止している町もあります)。危険なので三脚の使用もやめたいところ。混雑しているだけに、ちょっとしたマナー違反で一触即発の険悪な風の盆になってしまいます。
また、胡弓や三味線といった楽器は水に非常に弱いため、町流しや演舞会は、たとえ小雨でも中止となります。踊りたいのは地元の人も同じ願いであるだけに、これは、あきらめるより他ないでしょう。筆者もかつて、行ったときに残念ながら中止となった記憶があります。天候がよく、町流しが見られたらラッキーだと思うべきでしょう。
宿は、地元八尾町内では数百名分のみで、ほぼ長年の常連さんや関係者のみでしょう。列車で30分の富山市内中心部も、早くからほぼ満杯。観覧ツアーは、金沢市内・加賀温泉郷・奥飛騨温泉郷などに宿をとるか、夜行バスでそのまま都会へ直帰というケースが多いと聞きます。
町も駅も大混雑で身動きがとれないので、タイトな計画は立てないようにしましょう。特に、ツアーバスの集合時刻に遅れたり、駅の改札制限で帰りの列車に乗れず、富山市内の宿に帰れないということも起こりえますので、特にご注意ください。
でも、それだけ多くの困難と犠牲を払っても、あの幻想的な空間に朝までいると、不思議とまた行きたくなってしまうもの。特に、最終日の後、4日朝の始発列車が出るときに駅のプラットホームで踊る「見送りおわら」は、その年最後の踊りとなるだけに、車内から見ていてじーんとくるものがあります。
●越中おわら風の盆
開催期日:毎年9月1日~3日(毎年同日)
アクセス:JR高山本線 越中八尾駅下車
公式サイト:http://www.yatsuo.net/kazenobon/
電話:076-454-5138 (越中八尾観光協会)
写真提供:(公社)富山県観光連盟