今回はこれからの新たな街づくりについての話題です。一般的にスマートタウンとかスマートシティ、スマートコミュニティなど様々な表現がされており、ハウスメーカーはもちろん、不動産ディベロッパーなどが開発に力を入れている分野。ここでは、三井不動産グループによる「柏の葉スマートシティ」を紹介しながら、その魅力やこれからの展望について考えていきます。

スマートシティとして本格稼働がスタート

柏の葉スマートシティは、つくばエキスプレスの「柏の葉キャンパス」駅周辺で、三井不動産グループが進めてきた環境問題やエネルギー問題に対応し、安心・安全・サスティナブル(持続可能性)を追求した街づくりプロジェクトです。

ゲートスクエア

「柏の葉キャンパス」駅周辺に完成した「ゲートスクエア」の様子。新たな街づくりの象徴としてイベントなどが開催され、賑わいのある場所となっている。周囲には緑も豊富(クリックすると拡大します)

国や千葉県、柏市、東京大学や千葉大学、様々な企業、住民が参画した産官学が連携した事業であることも特徴。7月に、駅周辺エリアにホテルやオフィス、商業施設、ホールなどの建物、一部住宅(マンション)などが完成し、事業をスタート。スマートシティとしての稼働が本格化しています。

さて、ここで改めてスマートシティについてのおさらいです。なぜ、このような街づくりが必要なのでしょうか。それは環境問題やエネルギー問題に対応する街づくりが、これからの社会にとって求められるからです。さらに住宅やオフィス、商業施設が単独でそれらに取り組むよりも、街全体で取り組む方がより大きな効果が得られるからです。

つまり、柏の葉スマートシティの最も大きな特徴は街全体で、言葉を換えると住宅やオフィス、商業施設が複合的に省エネや省CO2に取り組むという点にあるのです。その象徴的なものが、街のエネルギーの運用や監視、制御を行う「柏の葉スマートセンター」と呼ばれる施設です。

住宅にはHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)という住宅内のエネルギーを「見える化」するシステムがありますが、この施設ではAEMS(エリア・エネルギー・マネジメント・システム)が採用され、街の中の電力をコントロールしているのです。ちなみにこのシステムは日本初のものだそうです。

オフィスと商業施設、住宅の間で電力を融通

スマートセンター

「柏の葉スマートセンター」の内部の様子。ここで街全体の電力の運用や監視、制御を行う。まるで電力会社のコントロールルームのようだ(クリックすると拡大します)

興味深いのが、平日は商業施設からオフィスに、休日にはオフィスから商業施設へ電力の融通をしていること。この前提には、住宅を含めた各施設で太陽光発電システムなどで創エネをし、さらに大規模な蓄電施設を用意していることがありますが、時間帯や日ごとに需要が増え、逆に減る場所が出てくるわけですから、それを街の中で平準化できるというわけです。

要するに、これは電力のピークカットに貢献するわけで、三井不動産によると「平常時には約25%の電力ピークカットに貢献できる」としています。なお、住宅は分譲マンションと賃貸マンションで構成されていますが、そこには「柏の葉HEMS」というオリジナルのシステムが標準装備されています。

そこでは、省エネのアドバイスを受けながら空調や照明などを制御することで、エコで経済的な暮らしをおくれるようになっていました。具体的には省エネ効果で約35%の電気料金削減(2000年時点の一般的な集合住宅との比較)が可能といいます。賃貸住宅にHEMSというのは、これまであまり聞いたことがありませんので、そういった意味でも柏の葉スマートシティの取り組みは先進的だなと感じました。

ところで、柏の葉スマートシティの特徴は、エネルギー分野にとどまりません。暮らしをより豊かにするという部分でも「スマート=賢い」取り組みが数多く行われていました。例えば、各住戸のHEMSでは防災やコミュニティへの参加に関する情報提供も行われていました。

それは、スマートハウスやスマートマンション、スマートタウンやスマートシティといったこれからの住まいや街づくりの先進的な事例ともいえますので、次のページで少し詳しくご紹介したいと思います。