男の子育て/遊び・コミュニケーション

「生きる力」を鍛える父子旅のススメ

父親として、子どもに人生を教えるうえで、旅は格好の教材です。乗る電車を間違えたり、忘れ物をしたりという失敗も大歓迎です。それがそのまま教材となります。道を間違えたときには、イライラするのではなく、「道を間違えたおかげで、こんな風景が楽しめたね」なんて、のんきなことを言っていればいいのです。

執筆者:おおた としまさ

家族旅行とはひと味違う父子旅

父子旅

旅は父親として、子どもに人生を教える上で格好の教材

よく、旅は人生の縮図だといわれます。想定外のことが起こり、それにどう対処するかに、その人の生き方が表れるといわれます。だから、「新婚旅行で成田離婚」みたいなことが起こるわけですよね。であれば、父親として、子どもに人生を教えるうえで、旅は格好の教材であるということです。ま、そんな父親も試行錯誤で人生を学んでいる最中であることはいうまでもありませんが、一応「人生の先輩として」というくらいの意味です。

せっかくの夏休みに行く家族旅行で失敗はできません。家族旅行の目的はリフレッシュであり、リラクゼーションであり、リクリエーションでもあります。苦労や苦行は不要です。特に子ども連れの旅行であれば、無理のない計画を練って、ある意味“無難”に旅を終えることが第一条件となります。しかし、そのような旅で、父親として子どもに人生を教えることはできません。そこでおすすめしたいのが父子旅という冒険です。秋の3連休などを利用するのがちょうどいいでしょう。有給休暇が使えるなら、平日に行くのもおすすめです。その間、ママには一人の時間を満喫してもらいましょう。ママが同窓会で帰省するなんてタイミングに合わせて父子旅に出るのもいいですね。


子どものリュックにあれこれ詰め込みすぎないで!

家族旅行に行くとなると、大抵荷物が半端ない量になりますよね。いろいろなケースを想定して、いろいろなグッズをカバンに詰め込んでしまうからです。結局あれもこれも使わなかったなんてことも多いでしょう。しかし、人にもよると思いますが、男性の旅支度は大抵シンプルです。リュックサックに下着と手ぬぐいと歯ブラシくらいが入っていれば数日間の旅ができてしまいます。「手元にある物で何とかする」が基本スタンスです。これ、人生も同じではないでしょうか。先のことばかり心配して、あれもこれも必要だとカバンに詰め込んでいると、いつまでたっても旅に出られません。旅に出る前に疲れてしまいます。旅先でも、荷物が重くて疲れてしまいます。それなのに、結局使わなかった荷物も多いなんてことにもなりかねません。

これからの時代を生きていくためには、英語が必要だとか、プレゼンテーションの技術を磨かなければいけないとか、IT知識が不可欠だとか、世の中では、子どものリュックにたくさんの荷物を詰め込むことに躍起になっています。子どもたちの背負う荷物はどんどん重くなっています。それでも大人たちは、自分の未来予測に基づいて、もっともらしいことを言ってさらに詰め込もうとします。しかし、その未来予測が外れたときに子どもたちが生きていけないのだとしたら、それは本当の「生きる力」とはいえないはずです。

「生きる力」という言葉には、「どんな世の中になっても生きていけるための力」というニュアンスが込められているはずです。その意味でいちばん必要な能力は、「状況に応じて、今手元にあるものでなんとかする力」ではないでしょうか。いくら準備をしておいたって、旅の途中では想定外が起こります。そのとき、今与えられた条件と道具でできる最善の策を考え実行する力が、我が身を守ります。人生においても、その場その場で自分が生きていくうえで必要なものを自分で見極めて、どうやったらそれを手にすることができるかを考え、そのために努力を続けることができる力こそ、「生きる力」の正体であるといえるのではないでしょうか。

>>父子旅で鍛えられる「もったいない、しょうがない、なんとかなる!」精神
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