スポーツ度がより濃厚になったクーパーS
そして、クーパーSは、184ps/240Nmを発揮する先代の1.6Lから逆に排気量が増えて、パワーもトルクもアップ。MINIきってのホットハッチという位置付けがより鮮明にされた印象を受ける。クーパーは、ダウンサイジングによりカタログ燃費を2.5km/L近くもアップさせているが、ワンはJC08モード燃費を約10%も向上し、MT車で大台の20.2km/Lに到達。「平成17年排出ガス基準75%低減レベル」を達成して、取得税60%、重量税50%の減税対象車になる予定と、スタイルや走りだけでなく、エコの面でも進化したのはガソリン高のいまはより歓迎されるだろう。
そうなると、中間グレードのクーパーは難しい立ち位置のように思えるが、先代よりも先述したように燃費も2.5km/L(AT)ほど向上しているからパワーアップとともに新型の恩恵を受けられるのは間違いない。
最上級のクーパーSは、192ps/5000rpm、最大トルク280Nm/1250-4600rpmの数値にふさわしい痛快な加速を味わえる。4気筒だけに音や振動のネガはほとんど意識せずにすむし、とにかく運動性能の面では文句の付けようもない。
試乗車は6速MTだったが、シフトフィールも良好そのもので、カチッと入れたいギアに吸い込まれるように変速が可能。
クラッチは軽すぎず、重すぎずといったところで、つながりも容易に察知でき、最近試乗したMT車ではルノー・カングーが好印象だったが、さすがにスポーツハッチという出来映えで、ホットなクーパーSに乗るならぜひこの6速MTを指名したいところだ。
乗り味はどうかというと、クーパーSらしくサスペンションはかなり締め上げられていて路面が荒れていると大きめの上下動に見舞われる。
ボディの剛性感が高いのでガマンできないほど不快ではないが、オプションのMINIドライビング・モードを最もハードなSPORT(スポーツ)にするとピッチングはより顕著になるから、街中ではもっぱらエコモードのGREEN(グリーン)で走行したが、パワー面で不足を感じることはなかった。
ハードなクーパーSだが、それでも初代ニューMINIのように轍(わだち)などでワンダリングに見舞われるような無粋なことはなく、クーパーSならこれくらいハードでOK、許容範囲だと思う。
また、MINIらしさといえば、使い古された感のあるゴーカートフィーリングが思い浮かぶ。サスペンションストロークは控えめで、クイックなフットワークはMINIらしいが、東名高速の東京-御殿場間を往復したところ、高速走行時の安定性は着実に高まっているように感じられたからパワーに余裕のあるクーパーSなら十分に高速ツアラーとしての役割も果たしてくれるだろう。
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