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大人の喘息が増加? 見直したい吸入ステロイドの作用

喘息というと子供の病気と思われがちですが、最近では大人の喘息が増えています。吸入ステロイドは喘息をもつ患者さんにとって症状の重篤化を防ぐ大切な薬です。治療のベースとなる吸入ステロイドの効果と副作用について見直してみましょう。

執筆者:村上 綾

大人の喘息増加中

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大人の喘息が増加しています

喘息というと子供の病気と思われがちですが、最近では大人の喘息が増えています。「アレルギー疾患診断治療ガイドライン2010」によると、成人喘息は過去10~20年で急増し、大人になってから初めて喘息にかかるという人も多くなっているようです。

喘息と診断された際、主に処方されるのが吸入ステロイドですが、過去にはステロイド外用剤の副作用についてマスコミによるバッシングがあった背景もあり、使用することに不安を感じている方もいらっしゃいます。バランスよく吸入ステロイドと付き合っていくためにはどうしたらよいのか、今回はその効果と副作用について見直してみましょう。

ステロイドの効果と副作用

ステロイドは強い抗炎症作用をもち、リウマチ、アトピー性皮膚炎などさまざまな炎症性疾患の治療に用いられます。喘息では慢性的な気道の炎症により気流が制限されるので、炎症を抑える抗炎症療法が治療の中心となっています。ステロイドには内服薬や外用薬などさまざまなタイプがあり、使用する剤形によって副作用も異なります。

「喘息長期管理薬」として用いられる吸入タイプのステロイドは、使用量がマイクログラム(1000分の1ミリグラム)単位と少なく、気道に限定して作用するため、全身的な副作用はほとんどありません。吸入ステロイドの主な副作用としては、口腔カンジダ、嗄声(かれ声)などがありますが、正しく予防することで防げます。

吸入ステロイド以外の喘息治療薬

喘息治療に使われる薬は、吸入ステロイド以外にも気管支拡張薬(長期作用性β2刺激薬)など、いくつか種類があります。喘息は慢性的な気道の炎症なので、炎症を抑える薬を長期使用する必要があります。気管支拡張薬の単独使用では喘息の根本的な治療にはなりません。

症状がなくても吸入をつづけないといけない?

ステロイドは吸入してから効果を発現するのに1週間ほどかかり、やめると効果が無くなってしまいます。喘息で最も危険なのは重篤な発作による死亡です。発作を誘発する因子はアレルゲン、過度のストレス、激しい運動などですが、臨床的には発作による急死とされても、気道では慢性に炎症が存在しているという報告があります。つまり、日ごろの喘息の管理が不十分な状態での生活が、喘息死を来すような重篤な発作を誘発する原因であるとされています。

また、喘息発作が起きた場合は、ステロイドの短期大量療法で治療することになります。長期使用のリスクより、症状が収まっているからといって使用を中止し発作を起こしてしまうことや、発作によって服用しなければならないステロイドの副作用のリスクの方が大きいです。そのため症状がなくても、吸入ステロイドで慢性的な炎症を抑えることが大切なのです。

吸入薬もさまざまな種類がありそれぞれに特徴があるので、気になることは医師に相談しましょう。吸入ステロイドの安全性と有用性を理解して正しく用いることが喘息治療の第一歩です。

■参考文献:気管支喘息の臨床ー診断と治療の最前線

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