「時代劇の東映」だったが
テレビ朝日系木曜20時を制作しているのは東映京都太秦撮影所。いつもは「京都ミステリー」として『科捜研の女』『京都地検の女』『おみやさん』の三本を中心とした事件ものを放送しています。かつては時代劇で黄金時代を築いた東映。時代劇がはやらなくなった現在は『相棒』などの刑事・事件もの、『仮面ライダー』などの変身ヒーローものといった時代劇の勧善懲悪パターンを活かせる作品に変わってきています。しかしその一方で時代劇をあきらめることなく続けようとしています。
しかし『信長のシェフ』は二、三話が視聴率6%台と低迷。一方『吉原裏同心』はNHKでは『居眠り磐音』『酔いどれ小籐次』などでNHK時代劇でおなじみ佐伯泰英原作ということもあり10%弱をキープし好調。『信長のシェフ』はいつものミステリー枠でなじんでいた視聴者が離れ、また時代劇ファンもタイムスリップ設定のひねったものより正統派の『吉原裏同心』をとったということでしょう。
生き残りのカギはテーマパーク
時代劇をあきらめない東映の代表的存在が太秦撮影所併設の「東映太秦映画村」。急速に日本映画が衰退した70年代に、スタッフと東映所属の大部屋俳優の雇用を守るためにつくられました。時代劇だけじゃなく、変身ヒーローや『プリキュア』などの東映アニメのアトラクションも入れ、海外で忍者が人気とあれば忍者屋敷をオープンと現代にあうようにリニューアルを繰り返し、魅力的なテーマパークとして近年入場者数が増えています。東のワープステーション江戸
東映太秦撮影所での収録が中心の『信長のシェフ』に対して、『吉原裏同心』は吉原の街をつくばみらい市にある「ワープステーション江戸」で収録しています。ワープステーションはもともと茨城県と伊奈町(当時、現在は合併してつくばみらい市に)が2000年につくった歴史公園。いわゆるハコモノ行政のため赤字続きで、経営主体が次々に変わり、現在はNHKの関連会社、ドラマも制作しているNHKエンタープライズが運営しています。
ワープステーションができてから、京都制作じゃない時代劇映画が増えました。現在公開中の映画『るろうに剣心』もワープステーション中心に制作されています。東京から近いので使いやすいというのが大きいのでしょう。なにぶん大泉学園にある東映東京撮影所でさえワープステーションをよく使うのですから。
まだある見学できる撮影施設
その他の見学ができる時代劇撮影施設としては大河ドラマ『炎立つ』がきっかけにつくられた岩手県奥州市「えさし藤原の郷」があり、太秦・ワープステーションに対して大規模な合戦シーンができる強みがあります。夏休みの行き先にいかがでしょうか。東映太秦映画村では涼んでもらおうと「ひえひえ王国」といった企画もあります。