公営か民営か
ギャンブルの設置ならびに運営の形態は次のように分けられる。まず設置については、日本の競馬のように国や自治体が設置する「公設」と民間が設置する「民設」があり、それがさらに公務員が行う「公営」と民間事業者が行う「民営」に分かれる。
単純な組み合わせは2×2で4だが、民間が設置したギャンブル施設を国や自治体などの公務員が運営することはあり得ないので、実際は「公設公営」「公設民営」「民設民営」の3種類に限定される。
結論から言えば、日本版カジノは「民設民営」がベストだ。
なぜ「民設民営」か
日本版カジノはなぜ民設民営にすべきか。まずは投資リスクだ。IRは一件数千億円という巨大事業。自治体の手に負えるものではない。さらに重要なのが経営の透明化と不正や腐敗の防止だ。民営方式はライセンス制となり、法律に違反した場合は営業停止または最悪の場合ライセンス剥奪の一発退場までありうる。従って高度な経営の透明性を事業者自身が作り上げていくことになる。
もちろん経営責任はすべて事業者が負うことになる。かつてあったバブル時代の箱モノを思い出してほしい。それらの中には自治体や公的機関が自ら建設や経営に乗り出したものもあったが、大半は客が来ず破綻した。
理由はハッキリしている。甘い見通しと、公営という守られた立場による経営努力の不足だが、最大の理由は内容がつまらなかったことだ。
観光客誘致に民間の知恵を生かす
その点にも民営のメリットがある。施設に面白さが加わる点だ。IR議員(国際観光産業振興議員連盟)の小沢鋭仁議員は次のように語っている。「我々は法律を作るのが仕事ですから刑法の違法性を阻却する法律は作りますが、発想は貧困ですから。民間の方に大いに知恵を出してもらって、計画を作ってもらうのが良いのではないでしょうか」(カジノジャパン29号)
観光客を呼び込み、日本の文化やおもてなしの総合力を発揮するには、やはり民間の発想力が不可欠なのだ。
日本版カジノは、たんにカジノを作る行為ではなく、日本における「民設民営」の新しい概念を作る国を挙げての挑戦といえる。