鉄欠乏性貧血はなぜ起こる?
貧血も重症に慣れば入院や輸血が必要です。
よく見られるのは、赤血球の数が少なかったり色素が薄かったりするパターンですが、機能が壊れた赤血球が作られてしまうために貧血になってしまうこともあります。貧血そのものは、日常診療の中でも比較的よく遭遇する病気ですが、患者様の中にはあまり重要な異常ではないと、軽く見てしまっている方も少なくないようです。
中には毎年健診で貧血を指摘されていても、「いつものことだから」と放置してしまっている方もいらっしゃいます。軽度の貧血なら多少放置しても問題ありませんが、貧血も重症になれば入院や輸血が必要になったり、心臓に負担がかかりすぎれば命に関わることもあります。また、貧血の原因が がんなどの重大な病気であるケースもありますから、たかが貧血と侮るのは危険です。
主な症状としては
貧血の主な自覚症状は、立ちくらみ・動悸・息切れ・疲れやすい・だるいなどが挙げられます。過多月経や痔などで貧血が進行した場合は少しずつ血液を失っていくため、体が酸素不足の状態にゆっくり慣れていってしまい、通常であれば動悸や息切れが起きてもおかしくない状態でもあまり症状が出ないことがあります。貧血に伴い「氷を食べたくなる」症状がありますが、機序は分かっていません。
どう対処したら良い?
貧血のなかでも一般的に多い鉄欠乏性貧血は、材料になる鉄が不足するため赤血球をうまく作れないのが原因です。治療については、足りない鉄分を補うしかありません。貧血の程度によっては鉄剤の服用や注射が必要になりますが、軽度なら食事改善やサプリメントによる鉄分の補給で対応できます。鉄が不足する原因は、鉄分の摂取不足や吸収障害、出血などによる鉄分の過剰な喪失です。女性が男性に比べて貧血になりやすのは、食事の内容的に鉄分が不足しやすいのと、毎月月経で血液を失うためです。
鉄欠乏性貧血を引き起こす食事は、鉄分そのものが不足している場合もあれば、鉄分を利用するのに必要なビタミンが不足している場合もあります。いずれも、食事だけで十分な摂取が難しい場合は、サプリメントで補う必要があります。特にストレスフルな生活をしている人はビタミンCが不足しがちなので、鉄分と一緒にビタミンCを摂った方がよいでしょう。また鉄分を多く含む食品としてレバーが有名ですが、無理にレバーをたくさん食べる必要はありません。赤みの肉や魚でも鉄分は摂れますので、緑黄色野菜と組み合わせてバランスよく摂るようにしましょう。
月経量が多かったり、月経期間が長いせいで貧血になってしまう場合、鉄剤で貧血の治療を行うだけでは不十分なことがあります。鉄剤を服用しても十分に改善しなかったり、服用し続けなければ貧血になってしまう場合は、月経量自体をコントロールする必要があります。月経量が増える原因として、子宮筋腫や子宮腺筋症などの病気が隠れている可能性がありますので、常に貧血傾向という方は一度婦人科で検査を受けた方がいいでしょう。
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