ニッチな分野の翻訳で年収500万に、その後ワンルーム投資を
金持ち母さん 星野陽子さん
星野陽子さん 上の子が1歳になった頃、ハローワークで仕事を見つけ、時給1000円で特許翻訳者のもとでパートの仕事をしました。その後、育児との両立のために在宅で仕事をしようと試験を受けて、翻訳会社に登録をしました。その時には2人目の子どもが生まれたばかり。
乳児と幼児を抱えながら翻訳の仕事をするために少しでも時間を捻出したくて、当初はお金を稼げていなかったのですが、シルバー人材センターに時給1000円で2時間、掃除やアイロンがけなどの家事をお願いしていました。
――“ユダヤ人に学んだ先行投資”を実践なさったわけですね。
星野 はい。仕事も単価のいい稼げるものに絞りました。当初は、英語の文書を読んで日本語にまとめる翻訳をしていたんですが、それだとあまりお金を得られないので、日本語から英語への翻訳の仕事を受けていましたね。日本語から英語への翻訳のほうが、ハードルが高い分、収入もいい。 “子供が将来、医学部に行っても大丈夫なくらい稼ごう”いうのが、私のモチベーションでした。翻訳の中でも、特許というニッチな分野にしぼったおかげで、初年度から500万円を稼ぐことができました。今でも本業は、特許翻訳です。
――すると、現在の収入源は、翻訳と不動産賃貸と執筆の3つ?
星野 アフィリエイトや株の配当など、細かいモノを入れると7つくらいあります。最初は特許翻訳1本だったのですが、非常にハードワークで何日も徹夜することもしばしば。もし、私が倒れてしまったら、子供が路頭に迷う。それだけは絶対に避けなくてはいけないと思い、収入の柱を増やす必要性を感じたんです。できれば私が倒れてもお金が入ってくる仕組みを作りたい。1本1本は細くても複数の柱を持つことで倒れにくい家計を作ろうと考えたんですね。
――不動産投資を始められたのもその頃ですか?
星野 そうですね。不動産を始めたのは2003年頃でした。最初に買ったのは、ワンルームのマンション。当時、株式投資をやっていたのですが、私の株の師匠のような方が不動産投資をやっていたんです。義父の不動産投資を見ていたこともあり、私もいずれやってみたいと思っていたところ、その人から「掘り出し物の物件があるよ」と聞いて、見に行ったのがそのマンションでした。成増駅から8分くらい歩いたところにある物件だったのですが、マンションの周りをグルリと回って環境を確認し、その足で不動産屋に飛び込んで「ここ買います!」と伝え、後日440万円をキャッシュで支払いました。もちろん、当時の私にとっては大金です。子供のために貯めておいたお金を取り崩して買いましたね。
――すごい決断力ですが、何が決め手だったんですか?
星野 バブル時に建てられたファミリータイプの分譲マンションで、非常に管理状態が良かったんですね。ワンルームの部屋は3つだけで、あとは皆60m2で5000万円くらいする物件でした。決断するときは非常に勇気がいりましたが、銀行に440万円を貯めておいても利子なんてほとんどつかないし、それなら毎月家賃が入ってくるほうがよほどいいなと。結局、6年後に売ったのですが、買った時よりも高い460万円で売れて、さらに家賃も460万円くらい回収できたので、結果的には2倍になった形でした。
――売ろうと思われた理由はなんだったのでしょうか?
星野 ワンルームが供給過剰になってきたなと感じていたんです。あと、トイレと洗面台とバスが一緒になっている3点ユニットの人気がなくなってきたこともあり、“ちょっとニーズが変わってきたな”と。それならここでいったん売ろうと思ったんですね。
――その資金は次のマンションに?
星野 いえ、実は売却する1年前に買っています。さらにいえば、最初のワンルームを買った翌年に、事務所を兼ねた自宅を建てているんですね。当時、翻訳でコンスタントに年商2000万円の収入があったので、そろそろマイホームを買いたいと思って探していたところ、ちょうどいい場所に土地が見つかったので思い切って購入しました。投資家仲間には「自宅は負債だ」なんて、散々言われましたが(笑)。
――不動産投資家の方は、自宅にはあまりこだわらないものなのですか?
星野 不動産投資家のなかには自宅を持っていない人も実は多いんですよ。でも、独身時代はずっと4畳半のひと間で妹と暮らしていた私にとって、マイホームは憧れでしたから、いずれ絶対に買おうと決めていました。
そして星野さんは、2008年に、2つ目の不動産投資用のマンションを購入。しかも、今度は、1棟丸ごと3億円をフルローン――。
★次回は、気になるそのいきさつを紹介します
教えてくれたのは……
星野陽子さん
東京都出身。外資系メーカー、シティバンク勤務を経て、フリーの特許翻訳者、作家として活躍。 イスラエル国籍のユダヤ人と結婚し、子ども二人に恵まれる。 最初は「貯まらない人」だったが、ユダヤ的思考を得てから、貯金や投資ができるように。 東欧からの移民の子で、14歳から働き、資産ゼロから財産を築いた義父から不動産投資を学び、 投資物件(6億円)などの資産を持つまでに。 約20年に及ぶユダヤ人たちとのつきあいなどを通してユダヤ式成功術を研究している。 著書に『ユダヤ人大富豪に学ぶ お金持ちの習慣』など。
取材・文/西尾英子