「なんとかしよう」すべてのことを自分の頭で考える
金持ち母さん 星野陽子さん
――前回、「なぜ?」の習慣が、星野さんのお金に対する価値観を根本から変えたと伺いました。その習慣が身についたことで、どんな変化がありましたか?
星野陽子さん すべてにおいて、自分の頭で考える習慣が身につきましたね。それまであまり気にしたことのなかったATMの手数料も「これを金利で稼ぐには、どれくらいの時間とお金がかかるのだろう」と考えたり。
これまで ”常識だから ”と、人目を気にしてやってきた義理の贈り物や年賀状なども取りやめ、本当に必要なモノにお金をかけるというスタイルに変えました。壁にぶつかっても、「何か糸口があるはず」と徹底的に考え、調べる。「なんとかなるさ」ではなく「なんとかしよう」という夫や義父の考え方に影響されたのでしょうね。彼らは、常に「なぜ?」と議論を重ねながら、なんらかの解決法を見出していく達人でした。
――そうなのですね。例えばどんな風に?
星野 マンションの排水管から水漏れがあり、業者さんに見積もりをお願いしたところ6万円と言われたことがあるんです。“専門家が言うならそうするしかないのかな”と見積もり通りに払おうとしたところ、夫は納得いかなかったようで、原因を徹底的に探り出し、結局工具店で数百円の輪っかを買ってきて止めたらなんとか修復できました。エレクトーンが壊れた時も、業者には何十万もかかるから新しいものを買ったほうがいいとすすめられたのですが、夫はなかなか諦めない。別の技術屋さんを呼ぶなど試行錯誤した結果、数千円で直してくれる人を見つけ、元通りになりました。
生き金を使うユダヤ人
お金の達人・ユダヤ人は「死に金」を使わない
星野 結果的に、長く使えることでコストが抑えられるような“価値あるもの”や、使った以上のお金が戻ってくると考えられる場合は、思い切ってお金を使いますね。よく、 “生き金 ”と “死に金 ”などという言い方をしますが、彼らは、 “生き金 ”を見極めるのが本当に上手です。例えば、何かを始める時には、成功している人にお金を払ってでもアドバイスを請う。実績のある人にアドバイスをもらったり、手引きをしてもらうことで、成功の早道が得られます。彼らは、そういった先行投資にはお金を惜しみません。私もそれに習い、新しいことを始める時には、必ず誰か成功している人にメンターになってもらうようにしていますね。
――ユダヤ人の習慣で、ほかにも星野さんが取り入れたものはありますか?
星野 彼らは宗教上、週に1日、何もしない「安息日」をもうけています。安息日の過ごし方はさまざまですが、敬虔な信者のなかには、一切の労働をしない、テレビを見ない、電気も入れないといった人たちもいますね。
意識的に空白の時間を作ることは、頭と心を休めて切り替えるのに非常にいいと実感したので、私もずっと取り入れるようになりました。週に1度というわけにはいきませんが、時々、空白の時間をつくるために旅に出て、静かに過ごします。頭を空っぽにする時間を作ることで、あたらしいアイデアがわくこともありますね。
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教えてくれたのは……
星野陽子さん
東京都出身。外資系メーカー、シティバンク勤務を経て、フリーの特許翻訳者、作家として活躍。 イスラエル国籍のユダヤ人と結婚し、子ども二人に恵まれる。 最初は「貯まらない人」だったが、ユダヤ的思考を得てから、貯金や投資ができるように。 東欧からの移民の子で、14歳から働き、資産ゼロから財産を築いた義父から不動産投資を学び、 投資物件(6億円)などの資産を持つまでに。 約20年に及ぶユダヤ人たちとのつきあいなどを通してユダヤ式成功術を研究している。 著書に『ユダヤ人大富豪に学ぶ お金持ちの習慣』など。
取材・文/西尾英子