マレーシアで人気のおやつ。魚せんべい「クロポ」
トレンガヌの市場で、袋入りのクロポを販売している様子。ばら売りで、量り売りをしていることもある
クロポ(Keropok、ケロポと発音することも)は、魚を原料にしたマレーシアのスナック菓子です。日本のおやつでたとえるなら“えびせん”タイプで、パリッパリッと弾けるような食感に、適度な塩っ気があります。クロポは揚げてすぐに食べるおやつなので、スーパーや市場では、揚げる前の状態で売っています。薄いグレー、または薄い褐色で、1ミリぐらいの薄さの長方形型のものを見つけたら、それがクロポ。油で素揚げしてから、いただきます。
港町のケダ州で、クロポ工場に潜入!
クロポ工場を案内してくれたマネージャー(右)と紹介してくれたマレーシア人のシュブさんとハリマさん
マレーシアでクロポ作りが盛んなのは、北部の港町。クランタン州、トレンガヌ州、ケダ州などでよく作られています。今回は、ケダ州の「PERSATUAN NELAYAN KAWASAN TANJUNG DAWAI」工場に訪問。ケダ州は、生鮮市場には食用のカブトガニ(!)をはじめ多くの魚介が並び、名物カレーは“ナマズのカレー”という魚をよく食べる街。新鮮な魚が安く手に入る街だからこそ、クロポ工場があるのです。
クロポの製造工程
「Nelayan Bagus」というブランド名でクロポを販売。魚の加工から袋詰めまで、全行程をこの工場で管理している
ここで扱っている魚は、イカンビリス(カタクチイワシ)、タンブン(イワシ)、クンバン(サバ)の3種類と、海老、イカ。魚1種で1種のクロポを作るので、計5種を製造しています。
魚の皮や身の色によって、クロポの色が変わる
作り方はいたってシンプルです。まず、魚の骨を抜き、小麦粉と一緒にマシーンに入れて、ペースト状にします。いうなれば、巨大なフードプロセッサーで魚のすり身を作ります。
薄く延ばしたものを折り重ねて整形
次に整形。回転型の棒を使いながら、平らに伸ばし、それを折り重ねて四角い形状に。これを蒸します。
スライサーを使ってクロポを薄く切る
蒸すと、白色のすり身がクロポ色のグレーに変わり、弾力と硬さが出ます。その状態のものをスライサーでカット。厚さ1ミリぐらいに自動的にカットされます。
乾燥させて袋詰め。約1週間で完成
屋外で乾燥させる。魚を原料にしているのに、不思議なほど匂いはない
袋詰めにされたクロポ。写真はイカンビリス種
次に乾燥させます。網の上にクロポを並べて、1日約8時間。常夏のマレーシアなので、5~6日も経てば、水分が無くなり、かたく乾燥したクロポに。それを袋詰めにして完成です! このシンプルな製造工程で、魚のうま味たっぷりのせんべいができあがるのです。
素揚げしてパリパリのせんべいに
揚げたてのクロポ。左がクンバン(イワシ)で右がソトン(イカ)
食べるときは、熱した油で素揚げ。調理のコツは、たっぷりの油で、少量ずつ揚げること。火が入ると約2倍の大きさに膨らむので、1度に入れすぎないようにしましょう。また、揚げあがりまで約2~2.5秒という、あっという間の出来事なので、調理は慎重に。うっかり揚げすぎると焦げて苦くなってしまいます。
揚げたて熱々のクロポは、魚の香りが口いっぱいに広がる味で、子供のおやつにも、ビールのおつまみにもぴったり!マレーシアなら、スーパーや市場でどこでも売っているので、お土産にもおすすめです。