子供の友達作りに親ができることってあるの?
友達作りが上手な子になってほしい! ママができることってあるの?
「お友達とうまく遊んで欲しいなぁ」と親なら切に願うもの。でも、子供同士の付き合いに、親がいつも顔をつっこんでいると子供の社会性が育ちません。
だからと言って、ケンカばかりの状態をそのままにもできない……。そんな悩みを解決するために、この記事では、親が直接介入することなく、子供の対人力をアップするコツをご紹介したいと思います。アタッチメントと友達作りの関係
最近、アメリカの大学が、114人の子供達を対象に、アタッチメントと友達作りの関係性を調査しました。この調査は、以下の2ステップで行われました。■子供が33ヶ月のとき:
母親とのアタッチメントの状態、その子の気性(怒る、反抗するなどの気性の激しさや恐怖心があるかなど)についてのデータを収集
■子供が39ヶ月のとき:
対象の114名を同姓の2人組に分けてその様子を観察。1ヶ月の間に3回、2人で遊ぶ機会を設け、その様子を観察。
すると、
- 母親とのアタッチメントが強い子は、新しい友達に初めて会った(1回目)ときでも、上手にコミュニケーションを取ろうとする傾向が強かった
- その傾向は、たとえ相手の子が気性が激しくても変わらず、好意的に接することができた(命令をされたり、おもちゃを奪われるというような行動をされたりしても、お願いをしたり、譲歩したり、という模範的な行動をより多く示した)
しかし、
- 2回目、3回目の遊びの場では、相手が怒ったり、攻撃的になってしまうと、その好意的な接し方は次第に弱まっていく傾向があった
- 最後の対面時(3回目)には、相手の一方的な自己主張に合わせ、自らも似たようなリアクションをするようになった
アタッチメントは万能ではないこともある、でも強い方が絶対に良い
この結果について、研究者達は、こう見ています。「アタッチメントが強い子は、基本的には、友達と上手に遊べる素質が備わっている。しかし、すぐにフラストレーションを爆発させたり、怒りをぶつけようとする子が相手だと、その子の持っているポジティブな期待感を守り通せず、その場の状況に合わせてしまったり、自分らしさを曲げて反応してしまったりすると思われる」
これまでお読みいただいて、アタッチメントでも及ばない場面もあるものの、その子の交友関係を広げるポジティブな作用があることはお分かりいただけたと思います。つまり、アタッチメントは弱いよりは強い方が良い。これは明らかな事実です。
「うちの子、気が短いんです」と悩んだら……?
さらに別の方向から、このデータを見てみましょう。この結果を一見すると、「子供が相手に荒っぽく反応してしまうのは、アタッチメントが弱いからだ」という印象を与えるかもしれません。しかし、それは違います。ここで誤解すべきでないのは、人間の気性というのは生まれつきのものであるという点です。お子さんが「気が短い」「怒りっぽい」「気難しい」からと言って、アタッチメントが弱いという意味ではないのです。
今、この記事を読んでくださっているのは、育児に熱心な方々だということを、私は経験上知っています。アタッチメントを普段から大切にしている一生懸命なママだからこそ、気になって読んで下さっているのです。だから、たとえお子さんの気の短さが気になっても、それでママを責めずに、この調査が示唆している大事なポイントに目を向けてみてください。
それは、
「気が短い、怒りっぽい、気難しいなどのお悩みにも、アタッチメントがポジティブに作用してくれる」
ということです。
- 子供がお友達とすぐにケンカをしてしまう
- 周りの子のものを取ってしまう
- 順番が待てない
そして同時に強化していきたいのがアタッチメント。本来、我が子への愛がアタッチメントへとつながっていくのですが、ときに「困った!」を解決してくれる突破口にもなってくれるのもアタッチメントのパワー。
これまで、私はアタッチメントに関する記事を多く書いてきました。その中でも、アタッチメントを「困ったときの突破口」として取り扱ったものがあります。以下がその記事リストです。ぜひ、ご参照ください。
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『魔の2歳児を抱きしめてあげよう』
『アタッチメントは大事、でもどれくらい大事なの?』
出典:Developmental Psychology (2014) 「Getting Acquainted: Actor and Partner Effects of Attachment and Temperament on Young Children's Peer Behavior」より