腸閉塞の原因が食べ物であることも……
食べ物が腸閉塞の原因となることもあります
食べ物が原因で腸閉塞(イレウス)になることがあります。食べ物が詰まることで起こる腸閉塞を「食餌性イレウス」といいます。食餌性イレウスの原因となる食べ物としては、糸コンニャク、コンブ、ワカメ、キノコ、餅などです。消化されにくいものや水分を含むと膨らんだりするようなものが原因として考えられています。
通常の量を食べるならば問題ありませんが、消化が悪いものをよく噛まずに飲み込んだり、食べる量が多かったりすると腸閉塞を起こす可能性があります。特に胃の手術をしている場合は、通常は胃に蓄えられてゆっくり腸に流れていくものが、十分に消化されず腸に大量に流れ込み、腸閉塞を起こしやすいので注意が必要です。
私が受け持っていた患者さんでも、ダイエット目的で「ふえるワカメ」を大量に食べた方や鍋料理の椎茸を噛まずに一個丸呑みした方で腸閉塞になった方がいました。どちらも保存的治療では改善しなかったため開腹手術となりました。
腸閉塞予防のために注意すべき食べ物・食事法
消化管や婦人科疾患の手術の経験がある場合は、術後癒着により腸が狭くなっている場合があります。腸閉塞の予防には食事に注意すべきです。食べ物はよく噛んで、ゆっくり適量をとるようにしましょう。早食いや食べ過ぎは、腸の狭い部分に急に大量の食物が入ることになり危険です。腹部手術の既往のある方は、消化が悪いものは控えるようにしたほうがいいでしょう。・腸閉塞予防のために控えた方がいいもの
コンニャク、硬い繊維の野菜(タケノコ、ゴボウ、レンコンなど)、キノコ類、海藻類、イカ、タコ、油の多い料理、脂肪の多い肉など
コンニャクや硬い繊維の野菜は一般的に便通予防には効果的ですが、消化されにくいという特徴があります。術後癒着などで腸が狭くなっている場合には摂取量に注意が必要です。
腸閉塞予防に効果的な食事・生活習慣
腸閉塞は予防するにこしたことはありません
実際、私が受け持っていた患者さんでも、大建中湯を処方してから腸閉塞をおこす頻度がかなり減少しました。また、腸閉塞予防には排便コントロールも必要です。食事療法や適度な運動を行っても排便がない場合は、下剤などで排便コントロールを行った方がいいでしょう。
腸閉塞は一旦発症すると苦しく、また鼻からイレウス管を入れて行う治療も結構辛いものです。食事に気を付け、定期的に薬を飲むことで腸閉塞の発症を予防しましょう。また、もしも腸閉塞になったら早期の治療が効果的です。早めに医療機関を受診しましょう。
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