雑貨/ハンドクラフト・工芸

古本と雑貨「手紙舎」と、ごはん屋「ヒバリ」

何屋さんとは一言で言い表せない、楽しい秘密基地のような場所。駅からも遠いし、どこにあるのか分かりにくいですが、行ったらきっと、何かいいことがある、そんな場所です。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

昨年の秋、東京の端っこにのんびりとオープンした「手紙舎&ヒバリ」。オープン前から、どんな店ができるんだろう?とワクワク待ち望んでいましたが、オープンしてからも、ここで一体何が起こるんだろう?とあいかわらずワクワクが漂っている、不思議な空間です。「手紙舎&ヒバリ」を運営しているのは「手紙社」。彼らはこの場所を”基地”と呼んで親しんでいます。

近くの川には菜の花がいっぱい咲いていて、お散歩にも良さそう。公園は大きな木が茂って森のようです。<br /> (この日実は雨だったので、写真が若干暗いてす。すみません)。

近くの川には菜の花がいっぱい咲いていて、お散歩にも良さそう。公園は大きな木が茂って森のようです。
(この日実は雨だったので、写真が若干暗いです。すみません)。



基地への道のりは決して簡単ではありません(!)。京王線の「つつじが丘」駅から、徒歩15分くらいテクテクとひたすら歩きます。本当にこっちでいいのかな?とちょっぴり心配になった頃、やっと団地の商店街が見えてきます。子供の頃の記憶にぼんやり残っているような、どこか懐かしい雰囲気の商店街です。団地の端のほうにちょこんと佇む小さな場所。宝探しのような気持ちで「あった!」と見つけてみてください。または、小田急線の成城学園駅からバスに乗るのもおすすめです。バスはあまり本数がありませんので、事前に時間を要チェック!終点まで乗ると、ここは東京ですか?と思うほど、のどかな川と森(ほんとは公園)の間でバスは止まります。緑の中をぶらぶらと口笛でも吹きながら抜けていくと、基地の小さな灯りが見えてきます。


秘密にしておきたい雰囲気ですね。

秘密にしておきたい雰囲気ですね。


「手紙社」とは、いつも何か面白いことをたくらんでいる、愉快でいたずらっ子な人たち。・・・というのは嘘で(いや、ほんとかも)、本業(?)は雑誌や書籍をはじめとする、様々な媒体に関わる編集者です。
「仕事の基本は編集者なので、その目線を持って、自分たちがいいな、と思うものを集め、加工し、この場所から発信していきたい。そして人と人とがつながったり深まったりして、みんなが元気になれるような場所にできれば。」と語るのは、基地の主である北島勲さん。

この場所は、訪れた人の想い次第で変幻自在。どんな楽しみ方をしても自由です。図書館でもあり、雑貨屋さんでもあり、ギャラリーでもあり、ご飯屋さんでもあり。時には情報発信のスタジオになったり、ピクニックの休憩所やお祭り会場にもなります。
小さな場所ですが、あっという間に時間が過ぎていきます。

小さな場所ですが、あっという間に時間が過ぎていきます。


基地の中は、大きな本棚とたくさんの本に囲まれ、本の森にいるような、穏やかな心地良さ。
「この場所を作るとき、図書館のような雰囲気をイメージして内装を考えました」。
本棚を作ったのは木工作家の西本良太さん。置いてある本は、古書モダン・クラシックのセレクトです。お茶を飲みながら本をのんびり眺めてもいいし、もちろん購入することも可能です。

なぜか鳥アイテム多し。上右はできたばかりのオリジナルギフト袋。楽しい図案が隠れています。鳥ブローチは北島さんのトレードマーク。工房イサドさんの手作りです。

なぜか鳥アイテム多し。上右はできたばかりのオリジナルギフト袋。ペンや切手、そして鳥!など手紙社をイメージする楽しい図案が隠れています。下の写真の鳥ブローチは北島さんのトレードマーク。工房イサドさん作。 


北島さんはたくさんの作り手やお店、ミュージシャンなどが集まって楽しむイベント「もみじ市」の主催者でもあります。(2009年の様子はこちら)。この基地をつくるにあたって、内装設計をお願いした建築家の井田耕市さんも、もみじ市がきっかけで知り合った友人です。なんと偶然にも彼のおばあちゃんは昔この団地に住んでいて、彼自身も少しの間住んだことがある、思い出の場所だったとか。もみじ市は縁結びパワーがあるのか、ドアの取っ手や看板、飾られた絵など、もみじ市を通じて出会った多くの作り手たちがお店作りにも少しずつ関わり、みんなで床を貼ったりペンキを塗ったりして、温もりのある手作りの空間ができあがりました。

つい覗きたくなるキッチン。取材した日は、次の日からのイベントのため、フライパン料理を試作中でした。手作りスコーンやヒバリオリジナルブレンドのコーヒーなども販売しています。

つい覗きたくなるキッチン。取材した日は、次の日からのイベントのため、フライパン料理を試作中でした。
手作りスコーンやヒバリオリジナルブレンドのコーヒーなども販売しています。


さて、部屋の奥に入っていくと、まるで絵本にでも登場しそうな居心地良いキッチンがあります。このキッチンの主はタナカセイコさん。ごはん屋「ひばり」の店主です。セイコさんは元々広島で「ばばじごはん」というご飯屋を開いていましたが、これまたもみじ市を通じて出会い、ご縁に導かれてこの地へやってきました。「一番えらいのは農家の人」が口グセだというセイコさんは、広島から無添加の元気な野菜を仕入れて、シンプルで美味しい料理を作っています。人生初の東京暮らしだそうですが、ここはあんまり東京っぽくないので大丈夫、とのこと。お鍋や器は、彼らをつなげた共通の友人である、陶芸家・小谷田潤さんのものを使っています。(5月26日(水)~5月30日(日)には、手紙社で小谷田さんの個展を開催!)。
「セイコちゃんの料理は力強くて包容力がある、いい意味でおばあちゃんの料理のような懐の深さを感じます」。

森の妖精みたいに、棚の中にちょこちょこと並んでいます。

森の妖精みたいに、空間のあちこちに雑貨がちょこちょこと潜んでいます。


様々な作り手の作品コーナーもあります。左上のおっきな封筒を下げたしっぽの長い動物さんは、イラストレーター・イシイリョウコさん作のマスコット。お隣のふっくらしたまんまるフェルトのがま口は、feltico・麻生順子さん。真ん中左は型染め作家・katakataさん。食堂で出すお手ふきもkatakataさんに作ってもらったオリジナルだそう。右はオートマタ作家・二象舎(にぞうしゃ)さん。鳥の乗った四角い箱の横にハンドルが付いていて、くるくる回してみるとあっと驚く仕掛けが!下左の木のアイスクリームスプーンや菓子切りは西本良太さん。右のお昼寝ポーズのブローチはtupera tuperaさんです。これらはみんな手作りなので数は限られていますが、購入することも可能です。
「雑貨屋さんとしては、正直まだまだ修行中の身です。お店って、やってみないと分からないことだらけ。いいと思うものはぜひ紹介したいですが、何を置かないか、ということを考えるのも重要なんです。」と思案顔の北島さん。

書斎スペースには、こばやしゆうさんの絵が。北島さんは食いしん坊だから、と魚を描いてくれたそうな。

事務所スペースには、こばやしゆうさんの絵が。
にこにことみんなを見守ってくれるように掛っています。


さて、手紙社の活動も聞いてみました。気になるのは秋に開かれるもみじ市ですが、これは水面下でジワジワと計画が進んでいるそうなので、どうぞお楽しみに。そして4月より、Ustreamの番組「チャンネル三輪舎」も開局しました。初回は視聴者も参加できるトークや、豪華ライブ、お料理コーナーまで充実の3時間放送!そしてさらに、もうひとつ耳寄り情報(?)が!
「今後やってみたいことのひとつとして、この場所で”表現の学校”のようなものを立ち上げたいと思っています。お店やものづくり、面白い活動をしている人や第一線で活躍している人を呼んで、話をしてもらったりワークショップを開いたり。そして参加した人たちが、何か前向きで明るい気持ちをポッケに入れて帰ってくれたら、とても嬉しいです」。
手紙社の活動は、HPやブログ、ツイッターなどで随時情報発信しているので、ときどきチェックしてみてください。


◆手紙舎とヒバリ
http://www.tegamisha.com/

【古本と雑貨「手紙舎」】
営業時間/
11:45~16:00(水、木、日曜日)
11:45~16:00、18:00~23:00(金、土曜日)
定休日/月・火曜日
tel 042-426-4383

【ごはん屋「ヒバリ」】
営業時間/
●昼ごはんとお茶とおやつ
11:45~16:00(水~日曜日 ラストオーダーは15:00)
●晩ごはん
18:00~23:00(金、土曜日のみ営業 ラストオーダーは22:00) 

定休日/月・火曜日
tel 042-426-4472
所在地/
東京都調布市西つつじヶ丘
4-23-35-101(神代団地内)
京王つつじヶ丘駅南口より徒歩10分
※行き方の詳細は手紙社のブログをご覧下さい。
【編集部おすすめの購入サイト】
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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