ブラジルは攻守の要を欠く

7月8日 ブラジル対ドイツ
エースのネイマールを負傷で欠くブラジル。キーマンは誰になるのか。

エースのネイマールを負傷で欠くブラジル。キーマンは誰になるのか。

両チームはこれまで21度対戦し、ブラジルが12勝5分4敗とドイツを圧倒している。ただ、このデータをそのまま当てはめるのは、少しばかり無理がある。

もっとも新しい顔合わせは、ほぼ3年前の2011年8月までさかのぼらなければならない。しかもこの一戦は、ドイツが3対2で競り勝っている。両チームのスタメンには、ブラジルW杯で主力を担っている選手が並ぶ。ドイツに苦手意識はないはずだ。

開催国ブラジルは、コロンビアとの準々決勝で大きな代償を払うこととなった。ディフェンスの中心にしてキャプテンのチアゴ・シウバ(29歳)が、通算2度目の警告を受けて出場停止となってしまったのである。

さらに、ネイマール(22歳)が負傷してしまった。

ブラジルではテレビのCFで見ない日はないほどの国民的英雄は、“セレソン・ブラジレイラ”と呼ばれるチームの絶対的エースである。決勝トーナメント1回戦のチリ戦、準々決勝のコロンビア戦では得点をあげていないが、ネイマールが相手守備陣を磁石のようにひきつけることで、チームメイトにスペースと時間の余裕が生まれていたのは見逃せない。


ネイマールの代役とフレッジへの期待

では、ネイマールに代わるキーマンは誰か。

先発に昇格するには、ウィリアン(25歳)かベルナール(21歳)だろう。エースの代役が活躍すれば、チームに新しい勢いがもたらされる。どちらがスタメンに名を連ねるかはともかく、ネイマールがこれまで担ってきたポジション──2列目と呼ばれる中盤の左サイドには注目だ。

主砲の爆発も望まれる。1トップを務めるフレッジ(30歳)だ。

ここまで全5試合に先発しながらわずか1得点という結果は、サッカー王国ブラジルのセンターフォワードとしては物足りない。過去2大会はベスト8で敗退しているブラジルだが、背番号9を着けた選手は最低限の結果を残してきた。06年大会はロナウドが、10年大会はルイス・ファビアーノが、5試合で3得点をあげている。

このまま1ゴールに終わるようなことがあれば、たとえブラジルが優勝してもフレッジには不名誉な大会となってしまう。大一番での勝負強さを評価されてきた男は、自らのゴールで決勝への切符をつかみたいはずだ。


交代カードが充実のドイツ

一方のドイツも、グループステージ突破後は苦しんでいる。

アルジェリアとの決勝トーナメント1回戦は延長戦までもつれ、2対1で際どく逃げ切った。フランスとの準々決勝は、センターバックのマッツ・フンメルス(25歳)のヘディングシュートが決勝点となった。攻撃的なタレントを数多く擁しながら、ここ2試合は爆発力と決定力を欠いている。

期待を集めるのはミュラー(24歳)だろう。

4年前の南アフリカ大会で史上最年少の20歳で得点王に輝いた彼は、今大会でもすでに4ゴールをマークしている。ただ、ここ2試合はゴールネットを揺らしていない。

ミュラーが背負う背番号13は、70年大会の得点王ゲルト・ミュラーや06年大会の主将ミヒェエル・バラックが着けた、ドイツ代表にとって特別な番号である。レジェンドたちの系譜を継ぐ男は、開催国ブラジル撃破に闘志を燃やしているだろう。

では、この試合はどのような結末を迎えるのか。

チアゴ・シルバとネイマールを欠くブラジルが、厳しい戦いを強いられるのは間違いない。試合の流れを変えられるがサブメンバーもいるドイツに比べると、ブラジルはベンチに控えるメンバーが心もとない。終盤までゲームがもつれたら、ドイツが有利と言える。そして、1点を争う展開でゲームが進んでいく可能性は高い。

だが、ブラジルはサッカー王国である。圧倒的なホームの雰囲気をアドバンテージとして、ゲームの主導権を握るはずだ。

問題は、主導権を掌握した時間帯に先制できるかどうか。その意味でも、フレッジの出来がカギを握る。


メッシ対ロッベンのどちらが輝くか?

7月9日 アルゼンチン対オランダ
この試合は二人の出来が勝敗を分ける。

リオネル・メッシ(27歳)とアリエン・ロッベン(30歳)だ。

ピッチ上で放つ存在感は、ロッベンが上回る。右サイドからのドリブルを得意とする彼は、とにかく速い。並外れたスピードの持ち主である。しかも、時間の経過とともに速さが増していく印象さえある。準々決勝でオランダを無失点に封じたコスタリカも、ロッベンだけはどうにも止められなかった。

対するメッシはどうか。
調子は悪くない。だが、絶好調ではない。

攻撃に専念するのは所属先のFCバルセロナ(スペイン)と同じだが、アルゼンチンはバルセロナのようにボールポゼッションが高くない。そのため、メッシのプレー機会が多くないのだ。

彼自身の運動量も少ない。ボールを呼び込む動きはほとんどなく、足元で受けてからの仕掛けに終始している。それでも相手守備陣を切り裂くのは、さすがメッシと言わざるを得ないのだが……。

1試合を通じて相手チームの脅威となるロッベンに対して、メッシは瞬殺の仕事人として機能する。ワールドカップでは98年大会の準々決勝以来となる顔合わせは、どちらに軍配が上がるのか。オランダの背番号11とアルゼンチンの背番号10に注目しつつ、彼らと対峙する両チームの守備陣にも目を凝らしてほしい。


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