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楽天・松井祐が大久保監督代行に捧げるプロ初勝利

楽天のドラフト1位・松井祐樹投手がプロ入り初勝利を挙げた。その裏には、監督代行を務める大久保博元二軍監督との苦楽をともにした歩みがあった。

瀬戸口 仁

執筆者:瀬戸口 仁

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オリックス戦の開幕からの連敗を9で止める

2回1/3で2安打無失点無四球の5奪三振での初白星を挙げた。

2回1/3で2安打無失点無四球の5奪三振での初白星を挙げた。

楽天のドラフト1位・松井祐樹投手(18)=桐光学園高=が7月2日、オリックス10回戦(京セラドーム)に2番手として登板。2回1/3を投げ、2安打無失点無四球の5奪三振でプロ入り初勝利を挙げた。試合前、星野仙一監督に代わり佐藤義則投手コーチが務めていた監督代行を、大久保博元二軍監督(47)が引く継ぐことを電撃発表した楽天。ゴールデンルーキーが、オリックス戦の開幕からの連敗を9で止め、新生・楽天を白星スタートさせた。

2対0で迎えた五回二死一、二塁。大久保監督代行は、あと一死で勝利投手の権利を得る先発・宮川を降板させ、松井祐をマウンドに送った。「抑えたら勝ちが付くかも」と森山投手コーチは登板するルーキーに囁いたが、これこそ新指揮官の“親心”だった。

その期待に見事応える。ペーニャに対して123キロのチェンジアップを投じ、タイミングをうまく外して二ゴロに仕留めると、「よっしゃ!」と叫んでベンチへ全力疾走だ。その後、六回から七回先頭の中村まで4者連続三振。その七回に二死一、三塁のピンチを招いたが、首位打者・糸井を高めのストレートで空振り三振に斬って取った。2回1/3で2安打無失点無四球の5奪三振での初白星。ヒーローとしてお立ち台に立つ資格は十分にあった。

「嬉しいの一言です。先発としてたくさん迷惑をかけたので、これから巻き返していきたいです」

4月はデビューから4試合で先発を任されたが、計19回1/3で24与四球と制球難に苦しんだ。勝ちたいという思いが強過ぎて、思えば思うほどリリースポイントが横になり、フォームを崩した。「嶋もリードのしようがない」、「めちゃくちゃ高い授業料を払っている」と星野監督から苦言を呈され、「ピッチングのABCからやってもらう。ストライクが入るようになるまで」と4月24日に二軍落ちを言い渡された。

その二軍では、大久保二軍監督らの指導のもと、リリースポイントを安定させ、あえて中継ぎで登板させることにより、課題だったクイック投法の改善にも取り組んだ。一軍に復帰後の6月19日広島戦では4回5四球とまだ結果は出なかったが、首位・オリックスとの大一番でこれ以上ない結果を出した。「二軍で成長を見てきている。どん底も見てきた。三振を取れると思って使っている。ストライクさえ入ればいい投球をする」と大久保監督代行。二軍生活で苦楽をともにしてきた指揮官だけに喜びもひとしおだ。

「辛い時期もあったけど、先輩たち、監督、コーチの方々がいろいろアドバイスをくださった。関わったすべての人に感謝したいです」

松井祐の言う「関わったすべての人」の代表格である星野監督に試合後、直接電話で報告すると「まだまだ、これから。もっとしっかりやれ!」と活を入れられたルーキー。「監督が(腰痛での休養から)帰ってくるまで、しっかりいい投球をして迎えられるように頑張ります」と目を輝かせながらも気を引き締めていた。
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