弁理士試験を受ける人の数は減少している
平成26年度の弁理士試験の志願者数は6216人で、前年の7528人よりも約1300人も減少しています。合格者の数が減少した理由の1つは、試験を受ける人の数が減少したことにあります。弁理士試験の志願者の数は平成22年ごろまで1万人前後だったのですが、その後、年々減少しています。これは、平成15年度以降はそれ以前に比べて1.5倍から2倍の合格者が生まれ、それまで勉強してきた志願者の多くが合格してもう受験しなくなったことや、国内特許出願の件数が平成21年以降に減少して弁理士の仕事が減っているという印象があることなどが、志願者数が減っている理由だと考えられます。
平成26年度の弁理士試験の合格率
平成26年度の弁理士試験合格率は6.9%で、これは約14.5人に1人が合格していることになります。平成25年度の最終合格率は10.5%でしたので、合格率が低下していることがわかります。弁理士試験は、短答試験、論文試験、口述試験の3段階で行われ、前の段階の試験に合格しないと、次の段階に進むことができません。これらの試験の平成26年度の合格率を前年と比較してみましょう。
- 短答試験:11.8% (前年は9.2%)
- 論文試験:30.5% (前年は24.8%)
- 口述試験:74.6% (前年は81.7%)
最初の段階である短答試験と、2段階目の論文試験の合格率はそれほど変わっていないのに対して、3段階目の口述試験では合格率が下がっています。つまり、平成26年度の合格率が下がったもう1つの原因は、口述試験の合格率の低下にあることがわかります。
合格率に大きな変化がない短答試験、論文試験については、筆者が確認したところ、試験問題の難易度、傾向に前年と比べて大きな変化は見られませんでした。また、周辺の受験生なども同じ意見でした。
口述試験の合格率が下がった原因ははっきりとはわかりません。これは、詳しい問題が公開されないことや、この試験では受験生ごとに問題や試験官といった試験の条件が異なるためです。ただ、公開されている試験テーマや、試験の再現などから判断すると、傾向に大きな変化はなく、合格のための基準が厳しくなっている可能性があります。
ここまで、平成26年度弁理士試験では前年と比較して、志願者数の減少、口述試験の合格率低下により、合格者数が大きく減少したことを見てきました。ただし、試験問題の難易度、傾向などについては前年と大きな変化はありませんので、これまでと同様に着実に勉強を進めていくことが効果的です。
では次に、今後の弁理士試験に向けて注意することを確認していきましょう。