弁理士試験/弁理士試験の概要

平成26年度弁理士試験の結果と今後の注意点(2ページ目)

平成26年度弁理士試験の合格者数は前年の約半分になりました。弁理士試験は難しくなっているのでしょうか。試験結果を振り返り、平成27年度以降の注意点や勉強方法を考えます。

木村 晋朗

執筆者:木村 晋朗

弁理士ガイド


短答試験の合格率は低い

短答試験は、弁理士試験の最初の関門で、これに合格しないと次の論文試験を受けることができません。この試験の合格率は11.8%と、論文試験の30.5%や口述試験の74.6%と比べて低いことに注意が必要です。つまり最初の関門である短答試験が、最も厳しいのです。

実は平成24年度までの短答試験では合格率が30%程度であることが多かったのですが、平成25年度以降は、合格率10%程度と約1/3近くまで下がっています。これは難しい問題が増え、合格のための基準もそれまでよりも引き上げられたことによるものです。

このような変化の理由は不明ですが、短答試験の合格者の数が多いと、これらの合格者が受験する論文試験、口述試験の採点の負担が大きいので、負担軽減のために合格者数を減らしたということも考えられます。
各試験の合格率推移

各試験の合格率



勉強の注意点としては、過去問は資格試験の勉強には有効ですが、短答試験については過去問だけに依存するのは危険です。過去の問題と全く同じ問題は、出題されないからです。
過去問の繰り返しだけに頼るのではなく、正確な理解と記憶を身につけましょう。

論文試験は例年どおり

論文試験は、短答試験に合格すると受験することができます。傾向や合格率に、大きな変化は見られません。
論文試験

論文試験


合格率は3割程度と簡単な試験ではありませんので、正確な理解と知識を身につけることで乗り切りましょう。
論文試験では条文を参照することができますが、暗記が不要になるわけではありません。条文以外の知識である制度趣旨、判例などが毎年問われるからです。

例えば平成26年度の特許法の問題では、特許が認められるために新規性が求められる趣旨や、リサイクルについての判例の知識が出題されています。これらは事前に正確に理解して記憶しておくことが必要です。

口述試験には要注意

口述試験には、論文試験に合格すると進むことができます。質問されていることを正しく聞き取り、回答を口頭で正確に言えることが大切です。試験のときに質問を聞き間違えることや、書けるのに口頭で滑らかに言えないことは多いものです。

筆者は、意匠法第1条の法目的を問われたときに、練習不足でスムーズに回答できず、痛い目にあいました。そのようなことが無いように、十分練習しておきましょう。

最難関資格と言われる司法予備試験でも口述試験の合格率が95%以上であるのに比べて、弁理士試験の口述試験合格率は74.6%と低くなっています。約4人に1人が落とされる可能性がありますので、十分な準備が必要です。

法改正を確認する

平成27年度の弁理士試験では、平成27年4月1日から施行される改正法が問われます。改正されたポイントは試験で出題されやすいので必ず確認しておきましょう。改正法の解説を特許庁が公開しています。

また、自分が使っている教材や資料が、法改正に対応しているかどうかも注意が必要です。法改正前の教材などを使う場合は、法改正でどのように変化するかを書き込んでおきましょう。筆者が初めて弁理士試験を受験したときも、その年に施行された改正法からいくつか問題が出題されましたので、やはり法改正は要注意です。

弁理士試験は短答試験、論文試験、口述試験と3段階の試験に通過しなくてはなりません。いずれの試験も容易な試験ではありませんので、法改正に注意しつつ十分な準備を進めましょう。

【関連サイト】
過去の弁理士試験問題(特許庁)
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