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DVが子供の発達に与える影響

増加の一途をたどるDV(ドメスティックバイオレンス)。ここ10年の推移を見ても、約4倍に増加しています。DVは家庭の中で発生することが多いことを考えると、子供達への影響も心配です。DVを目撃した子供達はどのような影響を受けるのか? アメリカの研究を交えてお伝えしていきます。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

年々増え続けるDV

この笑顔を親が守らずして誰が守る?

この笑顔を親が守らずして誰が守る?

近、テレビのニュースなどで頻繁に耳にするようになった「DV」=ドメスティックバイオレンス。同居関係にある配偶者や内縁関係の間で起こる家庭内暴力のことを指します。

警察庁の調べによると、2013年度の認知件数は、前年比12.7%増(5583件)の4万9533件で過去最多を更新しました。

もし子供のいる家庭でDVが起き、それを子供が目撃してしまったら、どうなると思いますか? 悪い影響を及ぼすのは明白です。では、3歳までの記憶が残りにくいとされる赤ちゃんだったら?


0~3歳にDVを目撃すると、どのような影響が出やすいか?

最近、アメリカの大学がこの影響を明らかにする研究を行いました。その研究は、0~3歳までの間にDVを目撃し、3歳以降は目撃しなかったという特殊な環境の107人の子供達を対象に実施。

目撃したDVの時期、期間、内容が、その後の子供達の行動にどのような影響を与えるかを調べました(そのデータを、DVを一度も目撃したことのない339人の子供達と比較)。

すると、3~5歳の段階では、DVを目撃したことがある子と目撃したことがない子の問題行動の頻度に差は見られませんでした。しかし、学童期になったあたりで、両者に差が出てくることが分かったのです。

DVを目撃したことがある子は、より攻撃的な行動を示すようになり、逆に、DVを一度も目撃したことがない子の攻撃的な行動は、年齢を増すごとに減少していきました。


DVの記憶はしっかりと眠っている

このように、すぐに影響が出るのではなく、期間を置いて影響が発現することをスリーパー・エフェクトといいます。

この研究者達は、「0~3歳の頃の赤ちゃんは受身で記憶も残りにくいことから、大人は『大丈夫だろう』『覚えていないだろう』と過信してしまう傾向があるが、どんなに小さな赤ちゃんでも自分の周りで何が起こっているかは注意を払っているものだ」と警告しています。

そして、すでに目撃してしまった子への対処として、この3~5歳の眠っている期間を活かし、専門家が子供達に「社会的な行動」を積極的に学ばせることを薦めています。

そもそもDV自体が大きな問題ですから、見せなければOKという類のものではありません。DV自体を問題視し、対処していく必要があります。

また、「心の中で何年か眠っているかもしれない火種」の存在を常に気にかけ、作らない努力もしていかねばなりません。0~3歳といえば、まだ親に完全に依存している時期。自ら「見る」「見ない」を選ぶこともできないのです。そんな子供達の弱い立場を分かってあげることは親として当然の役目です。


子供の笑顔を守るために

この記事をお読みくださっているのは、DVとは無縁な方、もしくは被害を受けている立場の方がほとんどで、このようなメッセージは、当の加害者には響きにくいということも、私自身、十分承知しています。いくら正論をぶつけても、肝心な相手には届かない歯がゆさがあるのが正直なところ。だからといって、この重要なトピックを眠らせてしまうわけにはいきません。

DVにおいては、子供達は完全に被害者です。子どもの笑顔を守ってあげられるのは親の役目。DVを起こす前に、この深刻な影響に気づいて欲しいと願うばかりです。


*出典:Journal of Child Psychology and Psychiatry (2013) 「The sleeper effect of intimate partner violence exposure: long-term consequences on young children's aggressive behavior.」より
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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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