相続・相続税/相続・相続税の基礎知識

相続人に「成年被後見人」がいると相続税が安くなる(2ページ目)

相続人が認知症などの場合は、成年後見制度を利用して遺産分割をすることになります。成年後見制度は利用手続きなどに手間がかかる反面、相続税が安くなるというメリットもあります。

小野 修

執筆者:小野 修

相続・相続税ガイド

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成年後見制度を利用する場合の注意点は?

相続税ではメリットがある反面、成年後見制度の利用には注意点もあります。

障害者でない人に障害者控除を適用するには成年被後見人であること
成年後見制度は判断能力の程度やその他の事情によって、後見・保佐・補助の3つに分かれます。このうちの「後見(成年被後見人)」のみ、障害者でなくても相続税の特別障害者の控除が適用になります。

成年後見制度の手続きに時間がかかる
相続税の申告および納税の期限は相続発生から10カ月以内です。家庭裁判所に成年後見人等の申し立てをしてから成年後見人等が選任されるまで、3~6カ月くらいかかることが大半。早めに手続きを始める必要があります。

成年後見制度の利用後の管理や報告に手間がかかる
成年後見人になった人は、成年被後見人が亡くなるまでの間は財産を管理するとともに定期的(1年に一度など)に家庭裁判所に財産の状況や収支を報告する必要があります。

他の相続人が成年後見人だと遺産分割ができない
例えば父が被相続人、相続人が妻と長男と長女の3人の場合で妻が成年被後見人、長男が成年後見人になったとすると、長男は妻の代理でもあり本人も相続人となって「利益相反」になってしまい、長男は妻の代わりに遺産分割協議をすることができません。この場合はさらに「特別代理人」を家庭裁判所に選任してもらう必要があります。

二次相続税対策ができない
成年後見人は成年被後見人になった人の財産を守る役割のため、遺産分割においては原則として法定相続分の財産を成年被後見人に相続させる必要があります。二次相続税の対策として、成年被後見人である配偶者の相続の割合を少なくすることはできません。また財産の保全を目的とすることから、二次相続税対策で生前贈与するなどして財産を減らすことは原則としてできません。

いかがでしょうか。相続税の増税、また高齢化社会が進むなか、メリットとデメリットを注意しながら成年後見制度を利用するようにしましょう。

【関連記事】
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相続における成年後見制度の利用法
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