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家計の金融資産、年度末ベースで過去最高

2014年6月18日、四半期に1度公表される資金循環統計の速報値が日本銀行から発表されました。家計に関する報道は少なかったのですが、家計の金融資産は年度末ベースで過去最高を更新したのです。個々の家計のデータとは異なることから関心が低いかもしれませんが、家計全体の動向を知っておくにはよいデータと言えます。2013年度末(2014年3月末)の資金循環統計の状況を見てみましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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四半期ではアベノミクス始まって以来の減少

2014年6月18日に日本銀行から発表された2014年1月~3月期の資金循環統計の速報値によれば、2014年3月末の家計の金融資産額は2013年3月末と比較すると、金額にして51兆円、率にして3.2%の増加となり1630兆円となりました。年度末ベースでは過去最高となりましたが、2013年12月末と比較すると14兆円の減少となってしまいました。

前期と比較して減少となったのは、2012年6月末から9月末にかけて以来の6四半期振りの出来事。安倍首相によって行われているアベノミクスが始まって以来でも、初の減少となりました。減少の理由は、2014年4月からの消費税の引き上げに備え、駆け込み需要による消費が大幅に増えたことがその要因と考えられています。

ただし、2012年6月末から9月末にかけての減少は、金額ベースで5兆円ですが、今回は速報値ベースでも14兆円です。気が早いかもしれませんが、6月末のデータが公表される9月の資金循環統計で増加に転じるのか気になるところです。仮に増加とならないようであれば、実質賃金の減少が家計にボディブローのようにジワジワ効いているのかもしれません。

年度末ベースでは過去最高を更新したものの、年度末などのくくりをはずせば3四半期連続の過去最高更新とはなりませんでした。世界と比較すると出遅れ気味であった日本の株価も堅調に推移していることから、2014年6月末に再び過去最高を更新するのかも興味深いと言えるでしょう。

皆さんの金融資産は、2013年3月末と比較して3.2%以上増えていますか?増えていれば合格、増えていない人は、平均並みになるように貯蓄を頑張るようにしましょう。

投資信託等の増加率は鈍化している

それでは、個別の金融資産の内訳を見ていくことにしましょう。

現金・預金の残高は865兆円で、金融資産全体に占める割合は53%です。2013年3月末と比較すると2.1%の増加です。物価が上昇し実質金利はマイナスとなっていますが、現金・預金の信奉は変わることはないようです。4四半期連続して2%以上と、堅実な増加率となっています。

投資信託の残高は78兆円で、金融資産に占める割合は4.8%に過ぎません。ただ、6四半期連続して対前年比二桁以上の増加率となっています。二桁以上となっているものの、2014年1月~3月期の増加率は10.2%。2013年の各四半期の増加率がいずれも20%超であることを考えると、やや物足りない気がしてなりません。

株式・出資金も投資信託同様、6四半期連続して対前年比二桁以上の増加率となりましたが、2014年1月~3月の増加率は11.3%でした。株式・出資金、投資信託の増加率が鈍化したのは、日本の株式市場が同期間中に低迷していたことが要因と考えられます。株式・出資金の残高は148兆円で、金融資産全体に占める割合は9.1%です。

保険・年金準備金も、アベノミクスが始まってから6四半期連続して対前年比2%以上の堅実な増加率となっています。生命保険による保証の確保が減少気味であることから、年金不安を反映した個人年金保険等の加入が堅調なのだろうと推測されます。保険・年金準備金の残高は442兆円と現金・預金に次いで多く、金融資産全体に占める割合も27.1%となっています。

一方、減少が続いているのが債券です。2014年1月~3月期も対前年比9.2%の減少率となっています。個人向け国債を始めとする国債が低金利に甘んじているため、満期になった好金利の債券の償還金で再投資されている人が少ないと考えられます。2013年は四半期ごとに減少率が低下したのですが、再び減少率が跳ね上がったことから、増加に転じるのはかなりの時間が必要と思われてなりません。債券の残高は29兆円で、金融資産全体に占める割合は1.8%です。
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