そこで、7月に行われる全国各地の祭りのなかから、お祭り評論家山本哲也が独断で3つ選びました。開催日順に、福岡県の「博多祇園山笠」、石川県の「あばれ祭」、そして大阪府の「天神祭」をご紹介します。(なお、京都の祇園祭は「一度は行きたい日本の祭り五選」にて紹介しております。ぜひあわせてご覧ください。)
博多祇園山笠(はかたぎおんやまかさ)(福岡県福岡市)
博多の街に夏のはじまりを告げる祭り、博多祇園山笠。約750年の歴史があるとされる祭りです。起源は諸説ありますが、鎌倉時代、博多で疫病が流行ったときに、承天寺を開いた聖一国師が、町民に担がれた木製の施餓鬼棚(せがきだな)に乗り、聖水を町に振りまいたのが始まり、という説がもっとも有力です。
祭りの大まかなスケジュールは、以下の通りです。
7月1日 飾り山笠一般公開開始/お汐井取り(当番町)
9日 お汐井取り(全町)
10日 流舁き
11日 朝山/他流舁き
12日 追い山ならし
13日 集団山見せ
14日 流舁き
15日 追い山(早朝です!)
祭りは7月1日、豪華な博多人形で飾られた高さ約10mもの「飾り山」の一般公開が始まり、街が祭りモード一色となります。そして、当番町による「お汐井取り」が箱崎浜で行われ、祭りの無事を祈ります。お汐井取りは9日夕方にも行われ、こちらは当番町のみならず全参加者によって大々的になされます。(写真2枚目)
いよいよ写真1枚目のように山を担いで街を走り抜くのは、7月10日の「流舁き(ながれがき)」から。最終日15日未明の「追い山」まで毎日どこかで山笠が走ります。なかでも盛り上がるのが、12日昼間の「追い山ならし」、13日の「集団山見せ」、そしてクライマックスは15日午前4時59分から始まる「追い山」です。
「追い山ならし」、「集団山見せ」と最終日の「追い山」は巡行コースが決まっているので、現地でマップを入手するか、山笠ナビで公開されているコースをチェックしておくのがおすすめです。地図はこちらからどうぞ。
ちなみに江戸時代までは、飾り山の大きさのものを担いで街を走っていましたが、今は電線などがあり、明治時代以降は、飾り山とは別に高さ3mほどの「舁き山(かきやま)」をつくり、担いで走っています。また、全速力で走り抜く理由は、7つの流(ながれ/山笠の祭りを担う単位)それぞれが、誇りをかけて1秒でも速く走り抜けようと競い合うためです。タイムの計測も行われます。
10日以降、走る舁き山には大量の「勢い水」が掛けられます。参加者がずぶ濡れになるのは当然ですが、見物人も濡れてもいい服装で挑みたいもの。特にカメラや携帯電話など電子機器は要注意です。レインカバーや携帯電話用防水ケースなどの準備は怠りなく。
15日の追い山を見る場合、早朝なので、場所取りなどを考慮すると宿でゆっくり寝ているひまはないでしょう。櫛田神社周辺など、混み合う場所だと前日夜から待っている人もいるほどです。朝7時ころには、すべての行事が終わっています。
櫛田神社内での桟敷席は例年6月下旬に発売されますが、神社内でのみ発売され(プレイガイドやコンビニ、インターネットでの発売はなされない)、発売開始後10分ほどで完売することもあり、入手はきわめて困難といえます。
追い山/追い山ならしでは、櫛田神社以外でも、道中、東長寺前、承天寺前、東町筋、大博通り、西街筋、そして廻り止め(ゴール地点)などにも見どころスポットがあります。
宿は、博多郊外の観光地(太宰府など)よりも、ビジネス街でもある市の中心地のほうがむしろとりやすいかもしれません。遠方からの場合、いわゆる出張用フリープラン(往復の飛行機/新幹線と宿のセット商品)の利用も検討してみるといいでしょう。
■博多祇園山笠
開催期日:毎年7月1日~15日(毎年同日)
会場:櫛田神社と福岡市内各所
アクセス:JR鹿児島本線 博多駅または西鉄天神大牟田線 福岡駅下車
電話:092-291-2951 (櫛田神社/博多祇園山笠振興会)