テクノポップ/アーティストインタヴュー

アーバンギャルドの『鬱くしい国』(5ページ目)

アーバンギャルド、電撃のレーベル移籍後、初アルバムとなる『鬱くしい国』を6月18日にリリース! 既にPV(プロパガンダ・ビデオ)を3作も発表。新境地に踏み込みつつも、我らの国「日本」をアーバン的切り口で見つめた渾身の力作となっています。松永天馬さん、浜崎容子さんに新作について語って頂きました!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

自撮のテクニック

ガイド:
プロパガンダ・ビデオの第2弾は「自撮入門」…英語ではSelfie、日本語なら「自分撮り」とか「自撮り」とか呼ばれていますが、この曲を転機に「自撮(ジサツ)」と呼ぶ運動をするべきではないかと。でも、携帯で普通で撮ってしまうと、自撮って歪んで実物よりブサイクに写ったりします。お二人は、自撮はよくしますか? また、自撮のテクニックなどあれば、教えてください。

自撮入門 (YouTube)

松永:
自撮は好きです!音楽も文章書きもお仕事になってしまった今、自撮が唯一の趣味といっても過言ではないほどの自撮者です!テクニックは、そうですねー、顔の一部を隠すと見る人が勝手に理想のパーツを想像してくれますよ(普通)。海外では自撮りがうまくいかなくて自殺する若者も出てきているそうでもはや「自撮り依存症」といわれる社会現象にもなっていますが、女の子の承認欲求ソング(そんなんあるのか)としては前作の『病めるアイドル』にも連なるテーマだと思います。

浜崎:
自撮はあまり好きじゃない…というとその割にアップしてるじゃん、みたいな本当に現代人っぽいんだけど、Twitterにアップしてます。私はもう顔出しして本名で活動しているから、現代に置いてネット上に自分の写真があがるのはもう逃れられないのでアップしてますが、普通の女の子たちが自撮をアップする姿を見ると今は亡き「ネチケット」を思い出します(笑)。
自撮のテクニックは…確かに歪みます。なので画面中央に出来るだけ被写体を置きます。あとは光で飛ばしたり色を変えたりの加工をあんまりしないでアップした方が逆に可愛く見えますよってことかな。

女がいない男同志のぶつかり合い

ガイド:
「戦争を知りたい子供たち」では、大槻ケンヂさんがゲストとして参加。過去にも戦争がテーマになった曲はありますが、今回は歴史観のあるシリアスな意味での戦争。大槻ケンヂさんとの語り合いをやってみて、どうでしたか?

松永:
akasakabritz

昨年行われた筋肉少女帯とアーバンギャルドのツーマン@赤坂ブリッツ

オーケンさん、筋少と言えば歌のフレーズと並んでとにかく「語り」の印象が強い。オーケンさんはアジテーターにして宗教家のイメージですね。僕は洗脳が解けた信者というか(笑)それで深夜の道場で、朝まで生テレビばりの激論を繰り広げる。だけどサウンドとしてもシューゲイザーかっていうぐらいシリアスで熱い。アーバンでも最もマッシブな曲になったのではないでしょうか?

 

浜崎:
この曲はよく耳を済ませてください。なんと、私が参加していない曲なのです。耳を澄まさなくても分かりますが、アーバンで今まで私が歌っていない曲というのは実は初めてなのです。「少女」を主にテーマとして歌ってきたアーバンが男だけの世界を作ってしまった、という新たな挑戦が出来た曲です。ぜひ、男性に聴いてもらいたい。

とにかく長い曲を入れようぜ!

ガイド:
「R.I.P.スティック」は、アーバンとしては珍しい6分45秒というプログレのように長い曲。途中から、叙情的なギターが響いたと思えば、ディスコ調になったり、ひねくれた僕のようなリスナーは楽しいです。これは、瀬々さんの趣味が全開した結果?

浜崎:
最初は前半の6/8拍子のパートを持ってきたんです。それで「この曲は場面ごとに展開した曲にすると面白いんじゃないのか?」とメンバー・スタッフミーティングで案が出て、最初はパートごとにメンバーで分けて、という話もありましたが、瀬々さんが持ってきた案がとても良かったのでその話は無しになりました。みんなで作り上げてより良いものになる作品もありますが、一人がストイックに作り上げる作品もまた思わぬ化学反応を起こすことを感じた曲ですね。

松永:
とにかく長い曲を入れようぜ!ということで、瀬々さんにお願いしたら叙事詩のような曲があがってきました(笑)。だから歌詞も少女の半生記のようなものになりましたね。曲調はどんどん変わりますが、ギターが前面に出ているのが新機軸だと思います。これをどうライヴで再現させるかが最近の悩みの種でもあります(笑)。

 

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