投資をするときには情報は必須
投資を考えるときに、私たちは情報を取って、そこから一つの仮説を立てて、未来を想像します。投資をするときに情報は必須です。しかし、やたらめったらに情報を集めると、むしろ現実が見えなくなります。きちんとやるには定点観測が必要です。定点観測とは、変化のある事象について、一定期間観察や調査を続けることです。
世界の株価動向を予測するには?
たとえば、株価は上がるのか下がるのか?米国は景気回復が続いているというけれど、中国では不動産バブルが破裂しそうと言われています。見る地域によって現状の診断は異なってきます。すると、上がるのか下がるのか分からなくなって不安になるばかり。情報あさりをしていると、思考の枠が広がり、判断麻痺に陥っていくのです。
この場合なら、どの地域の景気をもとに予測を立てるかを、あらかじめ決めておけばいいのです。
私は、世界の株価の潮流を米国経済で測っています。中国で成長率が低下しようが、欧州でデフレになろうが、米国経済が成長中ならばゴーサインと考えています。何しろ、米国は世界経済の20%超を占める巨大市場ですし、米ドルは世界の基軸通貨です。米国の動向が、世界の経済に影響し、ひいては株価や為替レートに影響していくのです。
世界中を継続観測することはできなくても、米国経済だけは常に注目しています。
米国経済を予測するには?
その米国経済のどこに着目するかにも、焦点が必要です。アメリカ経済を知るには、雇用統計、小売売上高、鉱工業生産、貿易収支、消費者信頼感指数など、さまざまな指標があります。専門家であれば、これらをすべて知ったうえで、総合的な判断を下すわけですが、分析を職業としていない人にとっては混乱の元となりかねません。
いろいろな指標を散発的に気にするよりも、一つの指数を連続して観察することが効率的です。その意味で、私はアメリカの住宅着工件数を最重要指標として注目しています。個人消費の勢いとデベロッパーの姿勢を示しています(毎月第3週公表)。
だれの発言に注目しますか?
経済に関しては、エコノミストや評論家がいろんなことを言っています。これも受け身で聞いていたら、ただの混とんに陥ります。なぜなら、彼らも立場や主義がそれぞれ異なるのです。同じ事象に対しても、強気な人と弱気な人がコメントするのでは、全然違う印象を与えます。結局は、さまざまな見解にほんろうされて、何を信じていいか分からなくなったりします。新聞を読んでいても投資力が付かないのは、そのせいなのです。
主体的に特定の人を選んで、継続的にその人の発言を観測しましょう。自分が信頼できると思う専門家のコメントを読み続けていくことで、変化が予測できるようになることでしょう。