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“本物”から空間を考える「デザインパパ」カーツさん(2ページ目)

ギャラリーのような建築空間で「本物の」インテリアエレメンツに囲まれて暮らす、デザインパパこと、カーツさん。今回は、ご自宅を訪ねて「次の世代まで残るデザインを選ぶ」「モダンデザインで教育を考える」とおっしゃる、そのデザイン理論の背景をお聞きしました。

喜入 時生

執筆者:喜入 時生

インテリア・建築デザインガイド

次世代まで残せる優れたデザインを選びたい

「家具に関しては、孫の世代まで残せるものを基準に選んでいます。世代を超えて良いモノを伝えていかないと意味がない。家具単体だけとか、コレクションする自己満足で終わるのではなくて、それを使った子どもたちが、どのような感性で次の世代に伝えていくのか、ということまで考えれば、 ”どんな家具を選ベば良いのか?” というチョイスは、必然的に決まってくるのです」とカーツさん。
アアルトの部屋

カーツさんが「アアルトの部屋」と呼ぶ2階の書斎。photo:カーツ

そこで、カーツさんの歴史観についてお聞きしました。
「過去とは、今まで先人が築きあげてきた、『歴史・伝統・文化』といったもの。たとえば、嫁入り道具として桐のタンスを受け継ぐといったような、伝統的文化の継承が日本にもありましたよね。そして、それが日本では、第二次世界大戦の敗戦、そして高度経済成長という名の『進歩主義』によって、ニ度に渡って分断されてしまったと思うのです」

では「現在」は、どうなのでしょう。たとえば今は北欧のデザインがブームですが?という質問を投げかけてみました。

「二度、分断された『過去』を今、ある種、懐古的に日本人が求めているのが『現在』なんじゃないかな、と思うのです。それが形を変えて、日本と似た文化を持つ北欧に魅力=シンパシーを感じているのが『北欧ブーム』という現象なのではないでしょうか? ですが、それは本来なら、自国で賄うべきであると僕は思います。しかし、残念ながら、先ほど述べた『二度の分断』によって、日本の高い伝統技術をもった匠や職人が激減した今、それを賄うのは自国だけでは不可能。そこで、グローバルな中の選択肢として、必然的に北欧が選ばれたのだと考えています」
ウェグナー

北欧を代表するハンス・J・ウェグナーの椅子。photo:カーツ

今は、空前の北欧インテリアブーム。そこで、これからの日本のインテリアやデザインの「未来」とはどういったものになるのとカーツさんにたずねました。

「現在の北欧ブームは、日本のかつての文化的な物が、復活しうる布石になる可能性もあると思っています。そう考えた時、今の北欧ブームには、日本の文化の『過去と未来を繋ぐ接着剤的』な役割があるのではないかと感じています。そういう意味で、僕はこれを、ブームという一過性の物で終わらせず、きちっと未来に対し、『自国で』というところまで繋げることが重要だろうと考えています。そして、それをどう子供たちに伝えていくかを、デザインパパ、カーツの活動の一環として提案していければと思っているのです」
アアルトスツール

スタッキングされたアアルトのスツールもすべてビンテージ。経年変化した色合いが現行モノとは違う本物感を醸し出しています。 photo:カーツ


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