次世代まで残せる優れたデザインを選びたい
「家具に関しては、孫の世代まで残せるものを基準に選んでいます。世代を超えて良いモノを伝えていかないと意味がない。家具単体だけとか、コレクションする自己満足で終わるのではなくて、それを使った子どもたちが、どのような感性で次の世代に伝えていくのか、ということまで考えれば、 ”どんな家具を選ベば良いのか?” というチョイスは、必然的に決まってくるのです」とカーツさん。そこで、カーツさんの歴史観についてお聞きしました。
「過去とは、今まで先人が築きあげてきた、『歴史・伝統・文化』といったもの。たとえば、嫁入り道具として桐のタンスを受け継ぐといったような、伝統的文化の継承が日本にもありましたよね。そして、それが日本では、第二次世界大戦の敗戦、そして高度経済成長という名の『進歩主義』によって、ニ度に渡って分断されてしまったと思うのです」
では「現在」は、どうなのでしょう。たとえば今は北欧のデザインがブームですが?という質問を投げかけてみました。
「二度、分断された『過去』を今、ある種、懐古的に日本人が求めているのが『現在』なんじゃないかな、と思うのです。それが形を変えて、日本と似た文化を持つ北欧に魅力=シンパシーを感じているのが『北欧ブーム』という現象なのではないでしょうか? ですが、それは本来なら、自国で賄うべきであると僕は思います。しかし、残念ながら、先ほど述べた『二度の分断』によって、日本の高い伝統技術をもった匠や職人が激減した今、それを賄うのは自国だけでは不可能。そこで、グローバルな中の選択肢として、必然的に北欧が選ばれたのだと考えています」
今は、空前の北欧インテリアブーム。そこで、これからの日本のインテリアやデザインの「未来」とはどういったものになるのとカーツさんにたずねました。
「現在の北欧ブームは、日本のかつての文化的な物が、復活しうる布石になる可能性もあると思っています。そう考えた時、今の北欧ブームには、日本の文化の『過去と未来を繋ぐ接着剤的』な役割があるのではないかと感じています。そういう意味で、僕はこれを、ブームという一過性の物で終わらせず、きちっと未来に対し、『自国で』というところまで繋げることが重要だろうと考えています。そして、それをどう子供たちに伝えていくかを、デザインパパ、カーツの活動の一環として提案していければと思っているのです」