財産三分法という考え方
近年では海外の資産クラスを含めてポートフォリオを構築することから、分散投資は「国際分散投資」と呼ばれるようになっています。(国際分散投資の重要性については、前回の記事「なぜ国際分散投資を行う必要があるのか」を参照)資産運用の考え方は欧米の方が一歩進んでいることから、分散投資も欧米から入ってきた考え方のように思われますが、わが国でも古くから「財産三分法」という考え方がありました。
財産を「預貯金、株式、不動産」の三つの資産クラスに分けて保有するという考え方です。預貯金は換金性と安全性にすぐれていますが、収益性は劣るうえ、インフレによって価値が目減りしてしまう可能性があります。これに対し株式には、値下がりするというリスクはあるものの、高い収益性が期待できます。不動産は長期運用に適しているうえ、インフレにも強みを発揮します。ただし換金性は劣ります。
預貯金、株式、不動産にはそれぞれ一長一短があり、どれか一つだけに財産(資金)が偏ってしまうと、換金性が劣る、安全性が劣る、収益性が劣るといういずれかのリスクが大きくなってしまうのです。しかし、この三つの資産クラスをバランスよく保有すれば、財産全体としてはむしろリスクを押さえて、より効率的な資産運用ができるようになるといわれています。
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