経済力の差によって決まるのが正しい為替レート
為替レートとは、変動相場制であれば各国の経済力によって決まるものです。例えば、ある国が経済的に発展すると、だんだんとその国の通貨は強くなってきます。すると、輸出が不利になって、あまり海外でモノが売れなくなり、「儲かりすぎ」を抑えることになります。弱い通貨は輸出に有利なので、日本の経済発展の土台となった
過程を4段階で表してみました。日本の場合では、1970代まではまだ通貨が弱い状態でした。1970年当時はまだ1ドル=360円です。それが60年代から80年代にかけて日本が経済的に大きく発展したので、1970年以降は円がどんどん強くなってきます。2000年前後には1ドル=100~110円、2010年の今では100円以下です。その結果、経済発展の速度が鈍りました。平成不況はそれだけが原因ではないと思われますが、円高も理由の1つです。
中国も途中まで似たような過程をたどっています。1990年代までは人民元はまだ弱く、経済的に大きく発展してきました。日本やアメリカ、他の先進国と同じルールで経済を運営しているなら、ここで人民元はだんだんと強くなってくるはずです。しかし、人民元は固定相場制にしているため、そうはならず、まだ弱い元のままになっています。
人民元が強くなると、今の中国の経済発展の勢いがなくなっていく可能性も考えられます。しかし、中国経済の勢いに押されて、アメリカの対中貿易赤字は拡大する一方です。そのために、「そろそろ先進国と同じルールでやってみてはどう?」という意味で、中国に人民元切り上げ・変動相場制への移行を要求しています。