ガソリン販売の代表的な会社である出光興産は、海外から原油を仕入れ、ガソリンを精製して、ガソリンスタンドで販売しています。出光興産(5019)の過去10年の売上高と営業利益の推移を見てみましょう。
ガソリン価格全国平均と同じように右肩上がりで増加しているでしょうか?
このグラフとガソリン価格全国平均のグラフを見比べてみると、売上高とガソリン価格全国平均の推移が似ていることが分かります。売上高は、リーマンショックの頃こそ減少しているものの、基本的には右肩上がりのトレンドで増加しています。
ところが営業利益はどうでしょうか?
年によって増加したり、減少したりしていますが、この10年で営業利益が増加しているかというと、そうではありません。ほぼ横ばいのように見受けられます。営業利益はガソリン価格の上昇に伴って、利益が増えるわけではなさそうです。
つまり、出光興産の売上高はガソリン価格全国平均と連動して増加しているが、営業利益は横ばい、と言えそうです。
なぜ、売上高が増えても、営業利益は増えないのでしょうか?
ここで、出光興産の原価率と粗利率(売上総利益率)の推移を見てみましょう。
ほとんどの年で原価率は90%を超えています。年によって多少の増減はありますが、ほとんど同じくらいの水準です。逆に粗利率は10%を切る水準で低迷しているともいえます。
ガソリン価格全国平均は上がっているのですから、出光興産の粗利率がどんどん上昇しているように思ってしまいますが、こうやって数値を確認すると、そうではないことがわかりました。
むしろ、ガソリン価格全国平均の上昇の背景には原油価格の上昇があるため、ガソリンスタンドも値上げをしないと利益がでないほど、ギリギリの価格でがんばっているといえそうです。