愛情、健康、金運のバランスをとることが大事
幸せなお金持ちになる方法をお金の女神が伝授!
――風水の専門家としても活躍していらっしゃるホーさんですが、風水を始めたきっかけは何だったのですか?
マダム・ホー 約30年前、華僑の夫と結婚したことをきっかけに、風水学の研究を始めたんですね。風水にはいろんな流派がありますが、私がやっているのは、風水の最高峰といわれる中国風水の「フライングスター風水」というもの。数千年の歴史をもち、華僑のお金持ちや財閥、数々の有力な中国企業が取り入れていることでも知られています。水晶や八角形の鏡などを使わず、ローバン(羅盤)とコンパス(磁石)のみで、家の方位を測定するのが特徴ですね。
――環境を整えて開運に導くのが風水なのですね。
マダム・ホー おっしゃる通りです。ですが私は、風水を単なる環境学ではなく、「心のヒーリング、またはマインドセット」と位置づけているんですね。気功が、体の中の気のエネルギーを整えるように、「フライングスター風水」は、家の中の気のエネルギーを整えます。良い気のエネルギーを利用することで、頭と心が冴えて優れた判断力を発揮することができる。その積み重ねが、開運に繋がります。「愛情、健康、金運のバランスをとることで、“心の平安”をもたらすのが究極の風水」だというのが、私の考えなんですね。
フライングスター風水では、毎年運気の“気”が変わりますから、運気のいい席に座って交渉事を優位に運んだり、金運のいい場所にオフィスを構えるなど、さまざまな方法でビジネスに取り入れる華僑の経営者も多いんです。
――華僑のお金持ちは、非常に風水を重視しますよね。なぜなのでしょうか?
マダム・ホー そもそも中国風水は、数千年の歴史の中で実践されてきた権力者の男たちの帝王学のようなもの。三国志に登場する諸葛孔明も、風水の方位術を活用して戦に用いたと言われていますよね。皇帝たちは、皆お抱えの風水師を持ち、彼らが示す運気の善し悪しや方角などを国政や戦に取り入れてきました。風水は、同時に、権力者達の帝王学であり、陰陽五行説に基づく人生哲学でした。
そんな風水の思想が、開運・成功の法則として今に引き継がれてきたわけです。華僑では、建築や不動産の購入、ビジネスの意思決定など、あらゆる事柄で風水が重視されていますね。ですから、2008年に日本で風水に関する本を書いたとき、女性の間で風水がブームになっていて、占いのように扱われていると知り、大変驚きました。
ビジネスパートナーを決める時は、相手の奥さんを見る
――確かに、日本では“手軽なおまじない”という捉え方をしている人も少なくありませんね。私たちが風水の力を活用するには、どんなことを意識すればいいのでしょうか。マダム・ホー 陰陽説をもとにした大きなポイントは、「この世の全てに陰と陽がある」ということを知ることです。勾玉のような形をした太極図に表されるように、世の中のすべてのことには、表と裏があります。何事においても良い面と悪い面を冷静に見て、バランス感覚を持たなくてはいけません。人を評価するときや投資物件を見るときも同様ですね。
そして、太極図が示すもう1つのポイントは平家物語の一節にもあるように、「諸行無常の響きあり」。つまり、すべては流動的に動いていますから、たとえ今が成功していたとしても甘んじず、未来永劫に発展していけるよう、あらかじめ手を打っておくことが大切。つまり、“リスク管理”を常に考えておくことです。
――「陰と陽」は、どのように考えれば?
マダム・ホー 陽と陰というと、普通は分かりやすい「陽」の部分が目立ちますが、風水では“陰こそが大事”という考え方をします。華僑の人たちは皆、この陰陽説の哲学を持っているので、例えばビジネスパートナーとしてふさわしい相手かどうかを確認するために、奥さんを見るんですね。日本ならゴルフに行ったり、銀座に飲みに行くなど、男同士の付き合いで終わるのですが、華僑社会では、夫婦同伴で食事に招き、丸い円卓を囲むのが通常。もしも、独身なら恋人を同伴してもらいます。
――なぜ奥さんをチェックするのですか?
マダム・ホー 本人の日頃の振る舞いや言動は、目に見える「陽」の部分。これは、いくらでも取り繕うことができますよね? でも、奥さんを見ることで、その人の家庭での一面、いわば「陰」の部分が見える。奥さんが生き生きと幸せそうでハッピーなオーラに満ちていれば、夫は家庭で奥さんを大事にする裏表のない人物だということになります。逆に、奥さんが不幸せな相をしているなら、どんなに体裁を取り繕っていても、家庭を顧みない旦那だということが分かります。
実は、私にもこんな経験があります。以前、ある大金持ちの日本人男性と取引をするかどうか迷っていたのですが、奥さんを見て愕然としたことがあるんです。非常に恵まれた暮らしをしている夫婦なのに、奥さんの顔が泣き顔でオーラが暗く、驚いたんです。実は、その男性に関して良くない噂を聞いていたのですが、奥さんの人相とハッピーではない雰囲気から、やはり妻を大切にしない男性はダメだと確信し、取引をやめた経験があります。
うちの場合、貧乏な時から2人とも前向きでハッピーな考え方で生きてきましたから、私も“幸せなオーラに満ちている”と言っていただけることが多いんです。妻がハッピーなのは、旦那さんがいい証拠ですね。
華僑のお金持ちはパワーストーンを身に着けない
―― 物事の裏を見ることで、相手の本質が分かるわけですね。他に、華僑の人たちはどんな風に風水を取り入れているのでしょう?マダム・ホー 気のエネルギーを見るために、「人相」をチェックするほか、家や会社のビルを事前に風水師に鑑定してもらったり、電話番号や車のナンバープレートなども皆さん縁起の良い数字にこだわりますね。
また、日本では“お金が増える”などといった名目で、たくさんのパワーストーンが売られていますが、そういったものを身につけることを華僑のお金持ちはしません。「自分のお金年齢が低い」と公言するようなものですから、一歩間違えば、ビジネスチャンスを逃すことにもなるわけです。
★次のページでは、日本人と華僑のお金の使い方の違いをインタビューします
マダム・ホーさんプロフィール
インターナショナルスクールを経て、16歳で単身アメリカ留学。名門南カリフォルニア大学(USC)とUCLAの両大学院修了。父の介護で失業したのがきっかけでビジネスの世界に入り、コーラも買えない貧乏時代から29歳で最初の1億を作る。著述活動を通じて日本人のお金のIQを上げ、日本人ミリオネアを輩出することに生きがいを感じている。2008年にだした「世界一愚かなお金持ち、日本人」は8万部のベストセラー。その後7か国で出版。現在は母校USCの顧問をつとめ、昨年は才能ある若者を支援するために奨学金を作った。「お金の女神」としてメディアでも人気を集める。毎日2回、ツイッターで幸せなお金持ちになるハピネスメッセージを配信中。www.twitter.com/madamho 公式サイトmadamho.com
取材・文/西尾英子