円相場をトレースする日経平均
中期的に見ると日経平均は持ち合い相場が続いています。具体的にはおよそ1万4000円レベルまで下がると小反発し、50日移動平均線前後まで上昇します。そして50日移動平均線前後で頭を抑えられ、再び調整基調に戻る、というのが2月以降繰り返されたパターンです。果たしてこのパターンに終止符を打てるかどうかですが、基本的には円相場次第と思います。2014年3月期の決算発表では好業績を発表する企業や積極的な株主還元策を発表する企業株が大きく上昇するところが目立ちます。しかし、日経平均を俯瞰して見ると、円相場の動きに似たようなチャート形状であることがわかります。
2014年に入ってからの、円安が進み日経平均が上昇したところを見ると、まず、3月末~4月の頭にかけての上昇は、4月8日の日銀の政策会合で、追加の緩和策を期待する動きでした。(結果として期待されていた追加緩和策は採られず、円高に逆戻り)
次に3月上旬の上昇を見てみると、米失業保険申請件数が減少し、2月の米雇用統計が予想を上回ったため、量的緩和の縮小が続くとの見方から米ドルに買いが入ったこととウクライナ情勢への懸念が後退したことから安全資産とされる円が売られることになったことが原因ですが、その後、中国経済の減速懸念と ウクライナ情勢の緊迫化によって再び円高、株安に逆戻りしています。
ポイントは米国経済が堅調となるかどうか
そして現在の円相場は日本銀行の黒田総裁が5月21日(月)の会見で、追加緩和策の実施を急がないと示唆したことで一時101円を切る円高が進んだ後、再び102円台に戻る急反発を見せており、これに合わせて日経平均も大きく戻しています。円安に戻ったキッカケは5月21日(水)に公表されたFOMCの議事録内容と思われます。米国の経済が回復する中で、どのように超緩和金融政策を元に戻すのかについては議論が分かれるところですが、FRBメンバーの一部は非常にハト派的で、利上げを急いでいないとの見方が示されるなど、市場に優しい正常化への道筋を示していることが明らかとなり、この日のニューヨークダウは158ドルもの大幅高となりました。これによってリスク許容度が増し、安全資産である円が売られた格好です。
一方、日経平均は5月23日(金)には早くも50日移動平均線に頭を抑えられる格好となっていますが、ドル円チャートを見ると、おおよそではありますが50日移動平均線が上値抵抗線、200日移動平均線が下値支持線となっており、その幅がどんどん狭まってきておりますので、そろそろこのじれったい相場に終止符が打たれてもおかしくはないと思います。
もちろん、中国経済悪化やウクライナ情勢の緊迫化のニュースが出れば円高、株安に進む可能性があります。しかし、そのような悪いニュースが発生せず、逆に米国経済に関して良いニュースが続き、米国経済が緩やかに改善する中での無理のない量的金融緩和縮小への道筋が見えてくれば、緩やかな円安、株高が期待できるようになると思います。
参考:日本株通信
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