来年10月にもさらに消費増税が実施予定だが…
前々回の消費増税(税率3%から5%へ)は1996年に実施されました。あるハウスメーカーではその直後、前年同期と比べ40%ほど受注が減少したといいます。その際にはバブル経済の破綻の影響もあり、住宅業界は長期的な苦境を経験し、厳しい業界再編、リストラを経験しました。住宅展示場の様子。来年10月の消費増税についてのアナウンスは今のところ目立たない状況だ
ですので、消費者が住宅取得をする条件というのは、消費増税後の今でもある程度整っているといえそう。ただ、そうした中でも住宅展示場の来場者が増加しないなど住宅取得の動きが活性化しないのは、明らかに消費者が「様子見」しているからだというのが、ハウスメーカー関係者らの一致した見方です。
前ページでご紹介したように来年10月には再度の消費増税が控えています。住宅は高い買い物であり、増税は生活レベルの質に大きく影響しますから、政府内では軽減税率の導入も検討されているようです。軽減税率とは、生活に不可欠な食品などでについて、消費税を低く抑えるというもの。
例えば、欧米ではパンなどの食品は非課税だったり通常の物品やサービスより、税率を抑えられているケースがあります。そのような制度が、消費税率10%とする条件として、我が国でも採用されることが考えられるわけです。ですので、消費者はその動向についてしっかりと気を配り、様子見をしていると考えられるわけです。
リフォーム、高齢者住宅、中古住宅流通が本格化へ
住宅業界は前年の好景気から一点、今年は「我慢の時期」に入っているように感じられます。もっとも、それは今年に限った話でもないようです。ご存じのように我が国は少子高齢化が進む一方、現状でも住宅の数は足りている状況です。ハウスメーカー各社は将来の成長を確保するため、リフォームなどの事業強化に本格的に乗り出そうとしている
大きく3つあるように思います。一つ目はリフォーム、二つ目は高齢者向け住宅、三つ目はストック(中古)住宅の流通で、これらの分野を強化するということ。リフォームについては10年前と比べて、ずいぶん事業規模が拡大し、収益性も高まってきています。特に大手ハウスメーカーでは、過去に供給した膨大なストックがありますから、それを対象にした事業では安定した仕事が確保できます。
かつては「建ててしまえばそれで終わり」というような感じが無かったわけではありませんでしたが、近年はアフターサービスを充実し、リフォームにつなげるビジネスモデルが定着してきました。また、最近は自社以外のリフォームにも進出するハウスメーカーも増えてきました。
高齢者住宅関連では、サービス付き高齢者住宅の建設にも意欲的に取り組むようになりました。この話は次回以降紹介しますので詳しくは説明しませんが、要するに賃貸住宅の高齢者版という感じ。そして、高齢者が住んでいる中古住宅をリフォームなどにより住み心地を改善し、若い世代の住まいとして提供しようというのがストック住宅の流通事業です。
いずれも、少子高齢化や住宅余りの状況に対応する事業として、それぞれが関連を持って展開されるはずです。長くその必要性がいわれてきましたが、いよいよ本格化していくという気運が感じられたのが今年の決算説明会において強く感じたことでした。