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カープ女子の声援を受ける大瀬良がチームトップ5勝目

昨シーズン16年ぶりのAクラス入りを果たし、その勢いが今季も続き首位を快走するカープ。野手も投手も若手の台頭が大きいが、とくに投手陣の中でドラフト1位ルーキーの大瀬良大地投手の活躍が目立っている。

瀬戸口 仁

執筆者:瀬戸口 仁

野球・メジャーリーグガイド

「カープ女子」の黄色い声援を浴びて首位を快走

大瀬良大地投手を始め、若手が目覚ましい活躍を見せている今季のカープ。女性人気も急上昇中だ。

大瀬良大地投手を始め、若手が目覚ましい活躍を見せている今季のカープ。女性人気も急上昇中だ。

広島は例年、5月5日のこどもの日を境に失速してしまうことが多かった。こどもの日が終わると、鯉のぼりを片付ける(仕舞う)ことと何か因果関係があったかどうかはわからないが、シーズン当初の出だしが良くても、不思議と失速してしまっていた。リーグ優勝は1991年が最後、日本一は1984年以来遠ざかっている事実が、広島の低迷ぶりを物語っている。

ところが昨シーズン、16年ぶりのAクラス(3位)と球団史上初のクライマックスシリーズ進出を果たした。その勢いが今季も続き、5月5日を過ぎても失速していない。それどころか首位を走り、5月16日の巨人戦に7対2と快勝し、2位・阪神に今季最大の4ゲーム差をつけた。快走の要因は、野手も投手も若手の台頭が大きいが、とくに投手陣の中でドラフト1位ルーキーの大瀬良大地投手(22)=九州共立大=の活躍が目立つ。

その5月16日の巨人戦(東京ドーム)、先発は大瀬良だった。8回を5安打2失点にまとめて巨人から初勝利。エースの前田健、バリントンを抜いてチーム単独トップの5勝目をマークした。

「低く、という意識を持っていた。自分の役割を果たすことを考えた。同じ相手に2回負けるのは嫌だったので」

プロ初黒星を喫した初対決(4月9日、東京ドーム)のリベンジを果たさなければならない。高めに浮いた球を痛打された反省から、最速149キロストレートとスライダーを低めに集めることを心がけた。また、キューバから新加入した4番・セぺダを抑えることに集中した。第1打席は内角を際どく攻めた後に外角へチェンジアップを、第2打席も同じように内角を突いた後に外角へストレートを投じて空振り三振。第3打席は初球の外角チェンジアップで平凡な一塁ゴロに仕留めた。内角を意識させ、全3打席とも外角で打ち取り、新4番に仕事をさせなかったことが勝利に結び付いた。

昨年から今年にかけて、広島には「カープ女子」と呼ばれる女性ファンが急増している。かつての広島にはコアなファンが多く、出身が広島という人がほとんどだった。ところが今や広島スタジアムの入場者の4割が女性で、大阪、東京など首都圏にある球場にも女性ファンが大挙して詰めかけている。その要因としては、広島は資金が潤沢ではなく、FAで獲得した選手は1人もいないばかりか、逆にFAで他球団へ流失してしまう状況。そこでどうしても若手を使わざるを得なくなり、その若手がチャンスをものにするために必死でプレーする。その姿を見て胸をキュンとさせるのが「カープ女子」なのだ。

5連勝で5勝目を挙げた大瀬良も「カープ女子」から大きな声援を受ける1人。15年間もBクラスに低迷し、昨年、16年ぶりにAクラスへ浮上した広島は、他球団にはない黄色い声援を受けて、今年は優勝も夢ではなくなってきた。
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