インフレ時代こそ、投資が必要
引き続きインタビューに答えてくれた田口智隆さん
――増税、インフレが続き、厳しい時代を迎えます。私たちはどうやって家計を守っていけばいいのでしょうか。
田口 インフレの時代に対して、対策と意識を切り替えないといけないと思いますね。デフレだったこれまでの時代に正しいとされていたことがそうではなくなる。たとえば、デフレの時代は、お金をそのままの状態にしておいたり、銀行にあずけておけばお金の価値が増えるからそれでよかったわけです。でもこれからは違います。1万円の価値が減るわけです。何もしないことは、目減りするのをじっと待っていることになる。投資を取り入れていく必要があると実感しています。
バランス型の投信積立で「負けにくい」資産運用を
――たとえば、どのような投資を取り入れていけばいいでしょう?田口 長期的に見れば、投資信託での積み立てが一番負けにくいと思いますね。物事はすべて“道具”と“やり方”の掛け算で決まりますが、これを投資に当てはめると、お金を増やすための道具が“金融商品”。たとえば株などもありますが、膨大な銘柄のなかから選ばないといけないし、目利きの勉強をしている間にタイミングを逃してしまうこともある。しかし、最初からいろんな金融商品が“パック詰め”になっている投資信託なら、袋の中身はプロが選びますから、勉強のために自分の貴重な時間をとられずにすみます。そして、次に考えなくてはいけないのが、どの投資信託を選ぶのか。僕は各国の株や債券など、いろんな金融商品が組み込まれている“バランス型”をおすすめします。
――道具を選んだら、やり方を考えなくてはいけない。どんな方法がいいですか?
田口 大切なのは、分散投資でリスクを減らすことです。すでに投資信託自体が分散投資なのですが、さらに毎月一定額を積み立てて購入することで、価格の高いときには少なく、低い時には多めに購入できます。つまり、平均購入価格を低く抑えることができるわけです。そして、投資信託でお金を殖やそうと考えるなら、ある程度の期間は必要です。最低10年くらいの長期で殖やすつもりで積み立ていくことですね。値動きの大きなものは、一気に資産を殖やすことが出来ても、大きく資産を減らす可能性もある。大勝ちするよりも負けにくいもので、少しずつ資産を増やしていく方法がいいと思いますよ。
お金とどう向き合うかが幸福度を左右する
――お金は私たちの暮らしに必要不可欠なものです。私たちを自由にするものであると同時に、ストレス要因でもあります。「お金とハッピーな関係」とは、どういうものだと思いますか?田口 お金を使うことにポジティブな印象を持てることが大切だと思います。貯金も同じで、夢や目標を持って貯めるか、不安だから貯めるかで幸せ度も違う。もちろん不安を起点に貯めるのも将来を見据えた前向きな貯め方ですが、「貯めたお金で将来どうしたいのか」を考えて欲しいのです。
――「不安の先に何があるか」で違ってくる?
田口 不安しか持ち合わせていない人は、いくら貯めたってその思いが解消されることはないと思いますよ。要は、お金とどういう付き合いをするかです。いくらあっても常に不安という人もいます。せっかく貯まっても、今度はそのお金がいつなくなるかと不安を感じる。こうなるときりがありません。お金を使うときに、後ろめたさがあっては、ハッピーにはなれない。なぜ貯めるのか、貯めてどうするのかをイメージしておくことが大切ではないでしょうか。
教えてくれたのは……
田口智隆さん
株式会社ファイナンシャルインディペンデンス代表取締役。1972年、埼玉県生まれ。28歳のときに自己破産寸前まで膨らんだ借金を徹底した節約と資産運用によりわずか数年で完済。その後は「収入の複線化」「コア・サテライト投資」で資産を拡大。34歳の時にお金に不自由しない状態「お金のストレスフリー」を実現。株式会社ファイナンシャルインディペンデンスを設立。現在は、その経験を活かしマネー・カウンセリングで個別に相談に乗る一方、より多くの人にお金の大切さを伝えたいという思いから日本全国でセミナー活動を積極的に行っている。『 11歳のバフェットが教えてくれる「経済」の授業』、『お金が貯まらない人の悪い習慣39』、『28歳貯金ゼロから考えるお金のこと』など著書多数。
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第1回目「借金1000万円以上から20代で復活!お金カリスマの意見」へ!
取材・文/西尾英子 パネルデザイン/引間良基