育児には連鎖が起こりやすい
連鎖の力を味方につけよう!
気のせいのようで、実は気のせいではない、物事の連鎖の力。育児も例外ではありません。最近、イギリスで発表された大規模なリサーチでも、この連鎖の存在が明らかになりました。まずはそのデータからご紹介しましょう。
その研究は、19,000人の子供達を対象に行われました。子供が、1歳直前、3歳、5歳、7歳のときに、その時点での行動の様子や家庭でのしつけについて、親に問診を行いました。また教師、年上の兄弟がいる子供はその兄弟達にもインタビューを実施し、より偏りのないデータを収集しました。
そこで見えてきたのが、子供を叱る場面で、
- 大声で怒鳴りつけたり、罰を与えたりすると、しつけの低下を起こしやすい
- 子供にしっかりと説明や理由づけをすると、子供の心を傷つけることなく、良い行動を導ける傾向が強い
ただ、このデータの他の要素を見ずに、「怒鳴るか」「きちんと説明するか」だけに着目してしまうと、大切な全体像が見えにくくなります。このデータは、怒鳴る=×、説明する=◎、だけでなく、怒鳴って解決しようとするパターンが起こす連鎖と、きちんと説明して解決しようとするパターンが起こす連鎖が存在することも示しています。
例えば、怒鳴ったり、罰を与えたりすることが習慣になっていると、全体的に物事が上手く回らなくなる傾向があり、きちんと説明や理由づけをすることが習慣になっている家庭では、就寝時間がきちんと守られていたり、栄養バランスのある食事を心がけていたりと、子供にいいと言われている習慣がいくつも共存していたのです。
>>次ページでは、負のスパイラルを正のスパイラルに変えるヒントについてです。
*出典: 2014年4月にイギリスで行われたRoyal Economic Societyの年次会議にて発表されたリサーチ結果より